ケトン体が体に与える影響について

2019.11.22

 

「ケトン体」という物質をご存知ですか?

 

最近、スポーツ選手や健康を意識している方に糖質制限ダイエットとともにケトン体を栄養素とするダイエットも話題になっています。

 

 

このケトン体について初めて聞いた、という方もいらっしゃるかもしれません。今回はこのケトン体とダイエット方法についてお話します。

 

 

ケトン体とは?

 

ケトン体というのは私達が脂肪、とくに動物性の脂(あぶら)を食べた時に、分解されて血液中に出てくるものです。そして、私達の栄養源として非常に大切なものです。

 

 

ケトジェニックダイエット

 

このケトン体を栄養素としたダイエットがあります。「ケトジェニックダイエット」という言葉が使われています。食事などで脂肪や動物性の脂を摂取した時に血液中のケトン体が上がる為、このケトン体で栄養を賄うというダイエット方法です。

 

糖(グルコース)は、活動エネルギーに分解されるとお話ししてきましたが、それと同じ様に脂質が分解されたケトン体も活動エネルギーに分解することができます。

 

ですので、ケトジェニックダイエットというのは、食事で糖質をやめその代わりに脂質をとって、そのケトン体を増やしてエネルギー源にしましょうという考え方です。

 

注意!ケトン体の誤解

 

ケトン体とは、その名前から誤解されていることがあります。

糖尿病が非常に悪化した状態に「ケトアシドーシス」という病態があります。これは高血圧により血液中にに副産物として作り出されたケトン体が増加し、血液が酸性に傾いた状態をいいます 。「ケトジェニックダイエット」と名前も似ていることから、ケトアシドーシスと混同してしまわれるようですが、ケトアシドーシスという状態は、糖尿病の特殊な状況で起こることです。糖尿病のケトアシドーシスという状態とは全く別の状態ですので、一般の方は特に気にすることはありません。

 

では、糖尿病のケトアシドーシスはどういう状態で起こるのでしょう?

それは糖尿病の人が食事せずに栄養状態が悪くなった時にケトアシドーシスは起こります。しかし薬などできちんとコントロールされていれば大きな問題にはならない病態ですので、普通の人には起こらないと思ってください。

 

ですから、ケトン体はエネルギー源になるものなので、我々の体にいいものと覚えておいてください。そして、ケトジェニックダイエットの考え方である脂質(脂:あぶら)をしっかり食べて、栄養源にするというのは、非常に正しいのです。

 

 

スポーツ選手のダイエット

 

このケトジェニックダイエットはスポーツ選手などの身体をよく動かす方はよく実施しています。なぜなら、スポーツ選手などの運動量が多い方は非常にたくさんの活動エネルギーが必要なので、しっかり食べてエネルギーを確保しないと試合に勝てません。

 

ある有名なテニス選手もこの2年間で体重を約7キロぐらい減量しました。その方法は糖質制限だそうです。

 

糖質を制限した代わりに摂った栄養分というのが、「脂質」と「タンパク質」ということです。栄養分を「脂質」「タンパク質」にしたことで、基礎体力が上がって、かつ持久力が出ました。と言い切っています。

 

基礎体力が上がり持久力が出たということは、まず体重を減らした上でというのがポイントです。この場合に落とした体重の中身、それは身体についていた体脂肪です。体脂肪の元である糖質を制限して、十分なカロリーを「脂質」や「タンパク質」から摂ったからこそ、このようなスポーツ選手として良い状態になるわけです。

 

このように脂質をしっかり食べて、基礎体力をつけるということは、テニス選手だけではなく、サッカー選手などの運動量の多いスポーツ選手が実際に行っているということを考えますと、すごく良いダイエット方法だと思って問題ないでしょう。

 

 

最後に

 

ケトン体を栄養素とするケトジェニックダイエットは、筋肉や基礎代謝量などを落としてしまう恐れのある無理な食事制限とは異なり、しっかり食べて活動エネルギーを確保した上で、不要な体脂肪を落とす効果が期待できます。

 

以前までは、脂質は太る原因と思われがちでしたが、今はその考え方は変わってきています。

今後、更に色々な研究がされて今まで正しいと思われていた健康に対する考え方が変わる可能性もあります。またダメだと思われていたものが、実は身体によかった、という研究結果がでることもあります。

 

このような時に、自分で判断できるよう新しく出てきた情報にはきちんとエビデンス(証拠)があるか?データがちゃんとそろっているか?などは確認するようにしてください。