「高脂血症(脂質異常)」と言われました。改善方法はどのようなものが考えられますか?

2019.11.26

 

「高脂血症」という疾患をご存知ですか?今は、「脂質異常症」と呼ばれるものです。

 

 

健康診断や人間ドックなどで血液検査をした際に、中性脂肪やコレステロール量が通常より多く、説明の際に脂質異常の疑いがあると言われたことがある方もいるでしょう。

今回はその脂質異常症(高脂血症)のお話です。

 

 

脂質異常(高脂血症)とは?

 

脂質異常症(高脂血症)とは血液中に含まれる脂質が多かったり、もしくは少なかったりする疾患です。脂質異常症(高脂血症)の基準値については動脈硬化学会が下記の様に出しています。

 

脂質異常症の診断基準

悪玉コレステロール(LDLコレステロール):140mg/dl以上

善玉コレステロール(HDLコレステロール):40mg/dl未満

中性脂肪(トリグリセライド):150mg/dl以上

※空腹時に採血したデータを使います。

参考:日本動脈硬化学会より

 

 

年齢や性別によって基準値が変わることもありますので、基準値から少し外れただけですぐに脂質異常症だと診断されることはありません。色々なデータから総合して脂質異常症だと判断されるものです。

 

また脂質異常(高脂血症)には、色々な種類があり、原因も様々です。

 

 

コレステロールについて

2015年までの診断基準でいうと、総コレステロール値220mg/dl(ミリグラムパーデシリッター)以上が高脂血症(高コレステロール血症)と言われていました。しかし現在、この基準はありません。

 

一番長生きするコレステロール値のデータというのが出ています。これは全世界で認められている値です。だいたい280mg/dl前後ということが分かっています。

 

つまりこれまでは総コレステロール値220mg/dl以下にしなくてはいけない根拠はありませんでしたが、アメリカも日本もこういう基準値を作っていたのです。

 

 

現在は基準値がありませんので、220mg/dl前後は、高めの状態と考えられます。

しかし、注意していただきたいのですが、コレステロールがちょっと高いだけで、コレステロールの薬を出すドクターが今もおられますが、根拠がないのです。

 

今は確かに、上限撤廃されて基準値もなくなりましたが、今までコレステロールの薬を飲んでた人は継続した方が望ましいと思われていらっしゃる方は注意が必要です。今コレステロールの薬を飲んでいる方は、家族性の高脂血症の方以外は飲むメリットはない、と医学的には証明されています。

 

 

コレステロールと食事

 

実は、コレステロールは私達が食べ物から摂るのが20%、残り80%は私達人間の体の中で作られます。

昔は1日に卵は1個にしましょうと言われたことがある方もいると思いますが、80%が体内で作られることを考えたらこれは、ナンセンスです。

 

コレステロ―ルは自分の身体の中でできますので、食べ物からの摂取量が1割減ろうが、2割減ろうがあんまり変わらないのです。

 

ですから、食事に関しては脂質をしっかり摂って、カロリーをとっていただくことをおすすめします。

 

中性脂肪(トリグリセリド)について

 

血液中の中性脂肪(トリグリセリド:TG)が多い場合、皆さん「脂肪かな…」と思ってしまうことが多いと思います。しかし実はこれはグルコースつまり糖質なのです。

 

糖質(グルコース)を摂取した際には活動エネルギーに変換するのですが、その使われなかったエネルギーを脂質に変えて身体の中にストックされるものが中性脂肪(トリグリセリド)というものになるのです。

 

ですから、中性脂肪(トリグリセリド)が高い方は糖質をやめる=砂糖や炭水化物を食べるのを止めると、中性脂肪(トリグリセリド)を下げることが分かっています。

 

 

最後に

 

健康診断や人間ドックの検査が基準値の範囲から出ていると心配になると思います。

しかし、そのほとんどが治療せず、基準値内に戻ることもあります。あまりにも心配で何から始めればよいか分からない時には、専門医に相談するか、自分できちんとエビデンス(証拠)がある情報を判断して参考にすることをおすすめします。

 

決して商品の宣伝だけしている情報や安易な口コミを信じることがないように注意してください。