子宮筋腫:良性腫瘍と酸化ストレス関連

2020.03.19

子宮筋腫:良性腫瘍と酸化ストレス関連

 

今回は女性特有の疾患である子宮筋腫のお話です。子宮筋腫は良性腫瘍の1種です。もう一方の悪性腫瘍、これが「がん」です。

 

 

今回は、良性腫瘍の1種である子宮筋腫と酸化ストレスとの関連について解説します。

 

良性腫瘍の注意

 

子宮筋腫は健康診断や婦人科検診で見つかることが多いのですが、悪性腫瘍ではなく良性の腫瘍なので安心、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし注意していただきたいのは、良性腫瘍は「良性」と書きますが悪性ではないというだけで、決して身体に良い物ではありません。

 

良性腫瘍といえどもできる場所によっては本来の臓器の機能を阻害したり、何かしらの病変が含まれている可能性もあります。また肥大して、良性から悪性に変化することもあります。そのいい例として大腸にできる良性腫瘍は悪性に変化する可能性が高く、医師から手術を勧められることがあります。

 

そもそもがんの検査は腫瘍の一部を切り取り、病理検査で細胞を確認しないとはっきり分かりません。医師に良性腫瘍と診断されたものは、肥大するとしても比較的スピードがゆっくりで、転移や浸潤がないものがほとんどです。

 

酸化ストレスと腫瘍

 

腫瘍の考え方は、良性でも悪性でも同じ物だと考えてください。

 

腫瘍の発生原因としてはまず細胞のミスコピーが原因です。

私達の身体では毎1千億個の細胞が日々生まれ変わっています。生まれ変わるということは、つまり新しいものに置き換わるということです。

 

置き換えるための新しい細胞は身体の元の細胞をコピーして作られるのですが、全てが完璧にコピーできるわけではなく、やはりミスコピーが起こります。その数およそ5000個のミスコピー、つまりがんの元が毎日できるのです。しかし私達の身体にはそのミスコピーされた細胞を排除する免疫システムが備わっています。

 

ところが酸化ストレスが原因で身体のサビが進んでいると、ミスコピーされた細胞を排除する免疫システムがエラーを起こし、ミスコピーされた細胞を見逃してしまいます。

 

この排除されなかった細胞が、良性腫瘍もしくは悪性腫瘍である「がん」になるのです。

 

がん細胞はある部位にできたものが遠くへ飛んでいき別の部位にできたり、その場所でどんどんどんどん大きくなるのですが、子宮筋腫もできた場所で増殖を始めてどんどん大きくなってくるケースがあるため注意が必要です。

 

酸化ストレスを下げることが予防につながる

 

これまでの説明のように細胞のミスコピーは毎日のように起きてしまいますが、免疫システムが正常に稼働していればミスコピーされた細胞は排除されます。しかし、酸化ストレスによって免疫細胞にダメージを受けてしまいますと、免疫システムがうまく作動せずミスコピーされた細胞が体内で増殖して腫瘍発生の原因につながるのです。

言い換えると子宮筋腫ができるのを予防するには、酸化ストレスを下げなければいけないのです。

 

これは数例ですが、子宮筋腫の患者さんに酸化ストレスを有効に下げるものを内服していただくと、小さな子宮筋腫が消えたり、大きな子宮筋腫がだんだん小さくなるという現象が確認されています。

 

いずれにしても身体のサビを減らす。これが非常に重要になります。

 

最後に

 

子宮筋腫は良性腫瘍だから気にしなくても大丈夫ということではなく、やはり定期的な健康診断や婦人科検診などで経過をきちんと確認しましょう。特に心配な方は、専門医に定期的に診てもらうことをおすすめします。

そして身体をサビさせない生活習慣を心掛けていただくことが大切です。