ご挨拶

犬房 春彦

活性酸素種や酸化ストレスという言葉は、アンチエイジングのブームによりなじみのある言葉になってきたように思います。

しかし、これらがどのくらい私達の生活や病気と密接に関わっているかについては、まだまだ知られていないようです。例えば年中、特に春先から夏にかけて起こる日焼けやニキビも酸化ストレスが関連しており、見た目にも影響することで精神的にも大きなストレスになります。また年齢を重ねることで生じる加齢臭や認知症、アルツハイマーは、気がつけば知らず知らずのうちに周囲の大切な方にも影響を及ぼしてしまいます。

そのため日頃から酸化ストレスを抑えることは本人のみならず、周りの人のためにもなるのです。ほとんどの病気に、何らかのかたちで酸化ストレスが関与しています。そのメカニズムを知り正しい抗酸化知識を持つことは、これらの病態を予防することにつながると確信しております。

当研究室の最終研究目標は“健康長寿社会への貢献”です。これまで実施した細胞や動物を使用した基礎実験の地固めをし、今後はヒトへの効果を実証すると同時にその成果を配信していく時期に来ています。高齢化社会が進んだ今だからこそより健康的に明るく過ごすためにも予防の大切さをルイ・パストゥール医学研究センターを通じて当研究室から配信し、多くの方の生活改善、病気の予防や病態の治療、そして最終的には高齢化社会に向かう医療の現場で抱える課題に貢献できたらと考えています。

抗酸化研究室 主席研究員
犬房春彦