妊婦はなぜ新型コロナウイルス感染の重症化リスクなのか?

2020.04.14

妊婦はなぜ新型コロナウイルス感染の重症化リスクなのか?

 

 

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私は岐阜大学と京都にあるルイ・パストゥール医学研究センターで酸化ストレスの研究をしています。

 

 

4月7日のNHKニュースで妊娠は新型コロナウイルス感染の重症化リスクなので、妊婦さんに適切は配慮を厚労省にお願いしたと報道されました。何故、妊娠が重症化リスクになるのかを解説します。

 

 

 

 

私は新型コロナウイルス肺炎は間質性肺炎である事を3月13日に発信し、安倍総理が3月末の記者会見で間質性肺炎に言及されました。そして、新型コロナウイルス感染症、間質性肺炎では酸化ストレスが高くなる状態であることを継続してお伝えしています。

 

 

 

 

酸化ストレスの最終産物は、洗濯に使われる漂白剤の原料である過酸化水素と、消臭滅菌に使われる次亜塩素酸があります。この二種は我々の体の中で作られていて、白血球がウイルスや細菌を破壊するときに使います。しかし、漂白剤成分が血液中で増えてしまうと全身に炎症が起きます。

 

 

 

 

2009年に大流行したインフルエンザ感染で死亡された方のリスクファクターの論文を世界中から集めてまとめた論文が2011年に出ています。肥満、脳卒中、糖尿病、脳神経変性疾患、喘息などのアレルギー疾患などが高リスクとされています。これらの疾患では酸化ストレスが非常に高くなっています。つまり、酸化ストレスが高い基礎疾患があるとインフルエンザ感染では重症化して死亡する可能性が高いと言えます。そして妊婦さんの死亡リスクは2倍近くあるとこの論文に報告されています。では何故、妊婦さんではリスクが上がるのでしょうか?

 

 

 

 

妊娠して胎盤が出来ると、胎盤から大量のホルモンが出てきます。そしてそのホルモンが酸化ストレスを上昇させるのです、妊娠された方の血液中の過酸化水素を測定したグラフですが、徐々に上がっていき出産時がピークです。そして、胎盤が体から出てしまうと過酸化水素は急激に下がります。妊娠されている方は酸化ストレスが上昇しているので、新型コロナウイルス感染すると重症化する原因の一つと考えられます。

 

 

 

 

妊娠して、通常よりも酸化ストレスが高い場合には、いろいろな問題が起きます。まず、つわりが強度になり食事が食べられなくなったり、全身の皮膚がかゆくなる妊娠性皮膚掻痒症があります。さらには酸化ストレスが血管内皮を障害して動脈が堅くなり妊娠性高血圧症候群の原因となることが明らかになっています。

 

 

 

 

妊娠されていたら、新型コロナウイルス感染はしないよう避けて下さい。また妊婦さんには社会的に特別な配慮が必要と考えます。そして、酸化ストレスを下げることが非常に重要です。こちらに書いた、タバコ・お酒をやめる、肥満のある方は糖質制限をする、十分な睡眠をとり、精神的ストレスを下げる、抗酸化サプリメントの摂取も良いでしょう。直接酸化ストレスは下げませんが、体を温めて免疫が上げることも重要だと考えます。

 

 

 

※当動画・テキストで公開している内容は、岐阜大学 抗酸化研究部門 特任教授 犬房春彦の個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません