2020.05.20
Covid-19による間質性肺炎について-CT像のすりガラス陰影・肺の線維化と肺がんリスク
まさにその通りです。3月末の安倍首相の記者会見でも申し上げられましたが間質性肺炎がCTでみつかるとコロナウイルス疑う、私はそれでよいと思いますし治療開始するべきだと思います。
間質性肺炎について指摘されたドクターというのは特質性間質性肺炎についてお話をされているんですね。今回のコロナウイルスによる間質性肺炎はウイルス感染性の間質性肺炎です。ですから軽症者とか中等症で経過した人達には線維化は残りません。ですからそこがどんどん線維化が進んでいく特質性の間質性肺炎とは違います。
しかしこのコロナウイルス感染で重症の肺炎になるという方というのは、病理所見でハチの巣状の穴が空いているというような非常にひどい肺炎を起こしていますので、ここの部分は不可逆的なことになるのかなと思います。
ですから間質性肺炎を特発性のもの、それとウイルス性のものと分けて考えていただくとよいでしょう。
間質性肺炎について申し上げますと2009年から2010年にインフルエンザウイルスの大流行がございました。この時は世界中でやはり間質性肺炎が起こったという症例報告が出ています。ですから今回のCovid-19ウイルス程ではないのですが、インフルエンザでも間質性肺炎を起こします。
そして今回のコロナウイルスの感染に関して申し上げますと中等症や軽症で回復するというこれらの方には線維化というのは残りませんので後遺症というのはないと考えます。
特質性間質性肺炎という病気は線維化がどんどん進みまして病気が始まってから5年後くらいに肺がんのリスクがかなり上がってまいります。
今回のCovid-19に関していいますと軽症とか中等度で改善される方には、線維化というのは残らないので特に肺がんのリスクは上がらないと考えます。ただし重症化して非常に強い肺炎が起こって回復された方がおられると思いますが、肺にハチの巣状の穴が空いた非常にひどい炎症が起きているのです。その部分は元に戻らないと、非可逆的であると報道されています。ですからその部分というのは非常に酸化ストレスが高いと考えますので、こういう方々は肺がんのリスクが上がると認識しています。
※当動画・テキストで公開している内容は、岐阜大学 抗酸化研究部門 特任教授 犬房春彦の個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません