【医師監修】酸化ストレスが光老化につながる!?原因や改善・予防方法を解説

2021.09.14

【医師監修】酸化ストレスが光老化につながる!?原因や改善・予防方法を解説

人間の体は紫外線を浴びると体内で活性酸素を作ります。活性酸素は体の酸化ストレス値を上げ、肌の表皮や真皮にダメージを与えてシミやシワを作ります。これを光老化といいます。

 

光老化を防ぐには紫外線による酸化ストレスの増加を食い止め、活性酸素を除去する抗酸化システムの働きを上げることが重要です。そのためには紫外線対策として肌を日光から守り、あわせて抗酸化物質を摂取することが効果的です。

 

この記事では酸化ストレスと光老化の関係、そして光老化を予防するための紫外線対策や抗酸化物質の摂取法などを具体的に解説します。

 

酸化ストレスと光老化の関係

 

光老化とは長年日光を浴び続けることにより引き起こされるシミやシワ、たるみといった皮膚の変化を指します。日光に含まれる紫外線が肌に悪いことは周知されていますが、実は光老化には酸化ストレスも大きく関係しています

 

地上に到達する紫外線はUVAとUVBの2種類あり、波長の短いUVBは表皮にダメージを与えて炎症やシミ、くすみなどの原因になると考えられています。波長の長いUVAは表皮の奥にある真皮にまで到達し、コラーゲンなどを傷つけ、肌のハリを失わせてシワやたるみの原因になると考えられています。

 

UVAとUVBはどちらも過酸化水素や一重項酸素などの活性酸素を細胞内に発生させます。活性酸素は皮膚細胞を酸化させシミの原因となるメラニンを発生させると同時に酸化ストレスも上昇させます。酸化ストレスが高くなると真皮のコラーゲン量が低下し、同時に真皮の柔軟性や伸縮性も低下します。活性酸素により酸化された遺伝子が活性化することでシワを作ったり老化現象を促進させたりもします。これらの積み重ねにより、光老化では深いシワが多数できるのです。

 

光老化と自然老化の違い

同じ老化でも光老化と自然老化とでは変化が異なります。人間の肌は加齢とともに皮膚が萎縮して薄くなりシワやたるみができます。この加齢とともに自然に起こる老化現象が自然老化です。

 

一方で光老化は紫外線に対する防御反応としてシワができます。体を守ろうとする反応なので皮膚は萎縮せず深いシワができ、表皮は弾力を失ってかたくなります。自然老化の肌は白く薄いのに比べ、光老化の肌は不規則に色素が沈着して色の濃い部分がまだらに確認できます。

 

実際に年齢を重ねた人体の中で光が当たる部分と当たらない部分を比べて見ると分かりやすいでしょう。同じ速度で老化しているにもかかわらず、光の当たる顔や手にはくっきりと深いシワができ、光の当たらない胸や腹には細く細かいシワが多くできます。

 

光老化の予防策

 

光老化は長年日光(紫外線)に当たることで進行します。予防するには紫外線を含む日光に直接皮膚が当たらないようにして酸化ストレスを高めないことが効果的です。日常生活を送りながら完全に紫外線をカットするのは現実的ではありませんが、できるだけ紫外線に直接皮膚があたらないようにし、難しいところは日焼け止めなどでダメージを最小限に抑えます。

 

また、少しずつ溜まってしまった酸化ストレスを和らげるために、食品やサプリメントから抗酸化物質を積極的に摂取することも良いでしょう。体内の活性酸素量を増やさず酸化ストレスを抑えながら、増えてしまった酸化ストレスを和らげるという両面からのアプローチで光老化を予防します。

 

紫外線を浴びないようにする

光老化は長年日光を浴びることによって起こるので、もっとも効果的な予防法は紫外線を浴びないことです。もちろん短い時間日光に当たっただけで大きなダメージがあるというわけではありませんが、毎日のことなので直射日光を肌に当てないようにすることが望ましいでしょう。

 

皮膚が薄く紫外線ダメージを受けやすい顔周りは日傘や帽子でしっかり守ります。日傘は紫外線カット率(UVカット率)の高いものが紫外線対策に適しています。表面積が大きく日傘では守り切れないことも多い腕はカーディガンやアームカバーを使います。

 

また、見落としがちなのは目です。目も紫外線から守れるよう、UVカット付きのサングラスをつけると安心です。真皮まで届きシワやたるみの原因となるUVAは雲や窓を突き抜けて肌へと届きます。雲の隙間から太陽がのぞくような天気は散乱光により快晴時よりも注意が必要と言われます。曇りだから、家の中だからと気を抜かず、常に紫外線にさらされていると考えて対策しましょう。

 

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日焼け止めを使用する

紫外線は上空から地上へ降り注ぐだけでなく地表面で反射されるものもあります。反射されて下から当たる紫外線は日傘や帽子だけでは対処できません。日傘や帽子と合わせて全方位からの紫外線を防ぐ日焼け止めも併用するのが望ましいです。

 

日焼け止めにはSPFやUVAという値で紫外線への防御力が表記されています。SPFの数値は表皮にダメージを与えてシミやくすみを作るUVBを、UVAは真皮まで届きシワやたるみを作るUVAをどのぐらい防げるかを示しています。どちらも高ければ高いほど紫外線に対する防御力が強いということになりますが、その分肌へのダメージも大きくなります。アウトドアには強いものを、日常生活には弱いものをと使い分けるのが良いでしょう。

 

日焼け止めはムラ焼けを防ぐためまんべんなくしっかりと塗り、汗で落ちることも考えて2~3時間おきに塗り直します。塗り直すときは汗や水分をしっかり拭き、しっかりと肌につくよう気をつけます。塗った日焼け止めは1日の終わりにしっかりと落として肌に残さないことも重要です。専用のクレンジング剤やオイルクレンジング剤を使い、優しく洗い流しましょう。

 

抗酸化物質を摂取する

どんなに気をつけても受ける紫外線をゼロにすることはできません。光老化を防ぐには紫外線対策とあわせて抗酸化物質を摂取し、酸化ストレスを軽減することが有効です。抗酸化物質にはビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール、カロテノイドなどがあります。

 

ビタミンCはキウイやパプリカに、ビタミンEはアーモンドなどのナッツ類や緑黄色野菜に多く含まれています。ポリフェノールとカロテノイドは植物などが生成する自然の抗酸化物質です。ポリフェノールはブルーベリーに含まれるアントシアニンや緑茶に含まれるカテキンを総称したものです。

 

カロテノイドは緑黄色野菜や海藻類に多く含まれ、トマトに含まれるリコピンもここに属します。食事では足りない成分はサプリメントで補いましょう。サプリメントは成分表を見て選びます。魅力的な口コミやインパクトのある数字だけで選んではいけません。科学的な根拠に基づき信頼できるデータから作られたサプリメントを必要なだけ摂取することが重要です。

 

まとめ

直射日光に含まれるUVAとUVBは過酸化水素や一重項酸素などの活性酸素を細胞内に発生させ、酸化ストレスを上げます。その結果シミやシワが増えることを光老化といいます。光老化によるシミやシワは自然老化より深いため、しっかりとした紫外線対策が必要です。

 

日傘や帽子で直射日光を防ぎ、日焼け止めを塗って全方位からの紫外線をブロックしましょう。あわせてビタミンCやポリフェノールなどの抗酸化物質を摂取するとより酸化ストレスを軽減して肌を守れます。紫外線対策は毎日の積み重ねが大切です。気づいたときに少しずつ始めてみてください。