2020.05.15
気管支に関する病気と酸化ストレス:喘息・慢性閉塞性呼吸障害(COPD)
今回は、気管支に関する病気と酸化ストレスの関わりについてのお話です。
気管支に関する病気として、喘息は何度かこのサイトで取り上げてきましたが、今回はさらに気管支の病気として増えている慢性閉塞性肺疾患(COPD)と酸化ストレスについても解説していきます。
喘息はアレルギー性疾患に分類されています。
気道の粘膜、つまり気管支の粘膜が非常に刺激を受けやすい状況になると、何かちょっとした刺激で気管支がぎゅっと細くなって喘息発作が起きます。慢性喘息の方は、この気管支の粘膜が常に刺激を受けやすい状態でいつ発作が起こってもおかしくない状況と言えます。
喘息の発作は非常に辛いもので、発作が長引くと呼吸困難を起こしてしまいます。
発作を起こすファクター(原因)は気管支の粘膜への刺激ですが、その刺激となるものにホコリや花粉、ダニの死骸などがあり、花粉症の方と同じように何に反応するかは、人それぞれ異なります。しかし常に周囲にあるものなので、喘息の方はいつ発作が起こるか不安なものです。
喘息の方のベースになるのはやはり身体のサビ、つまり酸化ストレスです。局所の酸化ストレスが高いと非常に喘息の発作が起きやすくなります。実際に酸化ストレスを下げてやるだけで喘息発作が全く出なくなったという患者さんもおられます。
喘息は岐阜大学 共同研究講座 抗酸化研究部門で酸化ストレスと関わりのある疾患として研究中です。
※参考
「抗酸化研究部門で研究している酸化ストレスに関わる疾患について」https://antioxidantres.jp/column030/
慢性閉塞性呼吸障害(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は近年増加している気管支の病気です。
以前は肺気腫または慢性気管支炎とされていました。この病気は肺の中にある肺胞(はいほう)の機能が壊れてしまい、酸素が取り込めなくなる為、慢性的に呼吸困難の状態になります。
慢性的に喘息の軽い発作の状態で、呼吸をするとヒューヒューと音がしたり咳が止まらなかったりします。また少し動いただけで息が切れたり、色の付いた痰が出たりします。
この疾患は、2030年には死亡原因の第三位になるのではないかとWHO(国際保健機関:World Health Organization)が予測しています。
COPDの大きな原因は「喫煙」です。大気汚染で汚れた空気を体内に取り込むことも原因の一つですが、患者さんの8割以上が喫煙者です。
タバコの煙には身体に有害な物質が含まれている為、それを大量に長期間吸い続けることで、肺の機能がダメージを受けてしまうのです。
こちらのサイトでも喫煙の危険性について紹介しているので参考にしてください。
https://antioxidantres.jp/column044/
喘息だけでなく、喫煙が主な原因であるCOPDもやはり、血液中の酸化ストレスマーカーが跳ね上がる酸化ストレス関連疾患です。
これはタバコや煤煙(ばいえん)などが肺に酸化ストレスを起こす物質を運ぶことによって、障害が起こると考えられます。
ですから、こういうCOPDの患者さんも酸化ストレスを抑えることで、ある程度病気の進行が抑えられるだろうと考えられています。
今回は喘息と慢性閉塞性呼吸障害について紹介しましたが、やはり気管支関連の疾患も酸化ストレスは大きく関わっています。ですから酸化ストレスを抑えことで、症状の緩和や進行を遅らせることが期待できます。また酸化ストレスを上げないことは予防にもつながりますので、酸化ストレスを上げない生活習慣をぜひ心掛けてください。