抗酸化・酸化ストレスとは?

酸化ストレスとは?

生物は呼吸によって酸素を体内に取り込み生命活動に必要なエネルギーを産生します。この時、同時に副産物として酸素より活性の高い毒物「活性酸素やフリーラジカル」が産生されます。
つまり酸素を利用して生きていく限り、この毒物は体内で産生され続けることになります。そのため、生物はこの毒性を利用して、外から侵入してきた細菌やウイルスを退治する武器として、また生殖関連や記憶関連の刺激剤としてバランスよく利用することを身につけました。

しかし、毒性の強い活性酸素やフリーラジカル(毒物)は、脂質でできている細胞膜を容易に傷害します。

これにより細胞傷害が起こり、ひどい場合には細胞死につながります。DNAや酵素、LDLコレステロールなども障害されるので、体内に活性酸素やフリーラジカルを野放しにするわけにはいきません。そのため身体にはこの毒物を中和させる能力(抗酸化力)を備えています。しかし生活する上で生じる様々な要因によって、この抗酸化力と毒物の均衡が取れず、毒物の方が体内に多く存在するバランスの崩れた状態になることがあります。

この状態を「酸化ストレス」と言います。この酸化ストレスの変化は、老化という形で観察することができます。同年齢でも若々しく見える方がいる一方そうでない方がいるのは、この酸化ストレスが大きく影響している可能性があります。


酸化ストレス関連疾患

酸化ストレスは全身のあらゆる場所で発生します。そのため全身の疾患の発生や進行と密接に関連します。

酸化ストレス関連疾患は100種類以上と言われています。これだけ多くの疾患に関連するということは、よく耳にする疾患(がん、糖尿病、心血管疾患、アルツハイマー病やパーキンソン病など)はもちろんのこと、稀な疾患や難治療疾患、難病指定疾患など全ての疾患のベースに酸化ストレスが深く関わっていると言えます。


抗酸化の重要性

活性酸素やフリーラジカルは紫外線や放射線、排気ガスといった大気汚染などの生活環境(外的因子)のほか、運動不足やストレス、喫煙や大量飲酒などの生活習慣、細菌等による感染や病気などによっても体内で産生されます。

そのため、生活環境や生活習慣の違い、さらには持病の有無によって活性酸素やフリーラジカルの産生状況は変わってきます。

身体に備わっている抗酸化機能(抗酸化力)には、大まかに3つの役割があります。

・活性酸素やフリーラジカルの生成を抑制する予防的抗酸化作用
・生成された毒物を速やかに除去する消去型抗酸化作用
・活性酸素やフリーラジカルによって損傷を受けたDNAや脂質、タンパク質を修復・再生する機能

この抗酸化力は通常 20 代をピークに加齢と共に徐々に低下すると言われています。生活環境や生活習慣、持病によって活性酸素やフリーラジカルの産生が活発になると、身体は恒常性を保つために身体の抗酸化機能を最大限活用して多くなりすぎた毒物を消去しようとします。しかし、この機能は絶対的なものではありません。
なぜなら身体の抗酸化機能が疲弊してしまうからです。そのため長時間の外的因子の曝露や継続した生活習慣の乱れは年齢に関係なく抗酸化力の低下を早めてしまいます。こうして活性酸素にバランスが傾くと、身体はその害を抑えきれずに身体の恒常性機能が損なわれ、老化現象の促進や様々な疾患の原因となってしまうのです。


抗酸化の基本

生活習慣や外的因子によって活性酸素やフリーラジカルが産生されるわけですから、食事、運動、睡眠、その他の生活習慣の見直しをすることで余分な産生を減らすことで、身体の抗酸化機能の疲弊を防ぐことができます。

ですから、生活習慣の見直しは抗酸化の基本であることがわかります。

バランスの良い食事
ビタミンやミネラルが豊富な食品をバランスよく摂ることが重要です。抗酸化物質は食事からも摂取することができます。
できるだけ多くの食材をバランスよく摂取することを心がけましょう。適切なカロリー摂取は、過剰な酸化ストレスの原因となる肥満を防ぐことにも有効です。腹八分目の食事を心がけましょう。

適度な運動
酸化ストレスと抗酸化力は運動強度(激しさ)に依存して高くなると言われています。つまり、運 動によって酸 化ストレスも上 がるのですが、最終的に抗酸化力も上がるためそれを打ち消してくれます。
しかし、激しい運動による活性酸素の過剰な産生は組織を痛める可能性があります。そのため適度な運動を心がけましょう。1週間に150分程度の運動を心がけると良いでしょう。 これは1日に約30分、週5日のウォーキングやジョギングで達成できます。

質の良い睡眠
睡眠不足は身体、特に腸内の酸化ストレスを上昇させるという研究結果が報告されています。腸内には数多くの腸内細菌が生存しており、免疫を司る場所でもあります。

十分な睡眠は体内の修復機能を活性化させ抗酸化力を高める効果が期待できます。1日に7~8時間の質の高い睡眠を取ることを目指しましょう。

その他の生活習慣
喫煙や大量飲酒は酸化ストレスを上昇させるので避けましょう。また日焼け止めの使用や、帽子・サングラスを着用することで紫外線から皮膚や眼を守ることも大切です。


もっと知りたい方へ

老化の原因は、酸化ストレス

今日からできる生活習慣。運動・食事・睡眠の基本。