「酸化ストレス」とはどんなものか?

2018.05.05

 

酸化・還元反応は、人間など酸素を消費して活動エネルギーを生み出す生物の体内で、ごくごく当たり前に起きている化学反応です。

 

 

 

その化学反応が行われる過程で生み出されるのが、活性酸素と総称される反応性の高い化学物質です。

 

現在、

スーパーオキサイド

ヒドロキシルラジカル

過酸化水素

一重項酸素

の4種類が知られています。

 

この活性酸素種のうち、スーパーオキサイド、ヒドロキシルラジカルは「不対電子」を持つ物質です。不対電子を持つ物質は、科学的に非常に不安定で、周辺の物質から電子を奪う力、すなわち酸化する力がきわめて強いのです。不対電子を持つ物質は「フリーラジカル」と呼ばれることもあります。(過酸化水素、一重項酸素はフリーラジカルではありません。)

 

酸化ストレスとは、「フリーラジカル」を含む活性酸素のように、化学的な反応性の高い物質によってもたらされる体のダメージのことです。

人間などほ乳類の場合、酸化ストレスの大部分は、ヒドロキシルラジカルが原因だと考えられており、タンパク質や脂質、糖質など、あらゆる物質と容易に結びついて体へのダメージを蓄積させます。

 

体をサビさせるとして、今や完全な「悪者」と見られている活性酸素ですが、実は、我々の体の中には活性酸素を生じさせ、それを有効に使うためのシステムも備わっています。

代表例が、体の防衛部隊として活躍する白血球でしょう。白血球は酸素を活性化させた後、過酸化水素へと変換。そこから”次亜塩素酸”や”過酸化水素”を生成します。

 

次亜塩素酸過酸化水素、みなさんもご存じですよね。そう!消毒液や、洗濯に使う塩素系漂白剤です。

このふたつは反応性が高く、ヒドロキシルラジカルを生成しやすい物質です。酸化力が非常に強く、細菌やウイルスを一気に酸化、つまりサビさせてしまう。

だから、消毒やノロウイルスの予防などにも使われています。これらの”非常に酸化力の強い物質”を、体の中で作っているわけです。

 

 

効果が高いだけに副作用も強いのですが、生物の体はよくできています。

 

ヒドロキシルラジカルを生成しても、それらの害をなくす“抗酸化システム”も備えているからです。酸化作用と体が持っている抗酸化システムとのバランスがとれている限り、大きな問題にはならないのです。

 

ところが、我々のまわりには、紫外線や喫煙、自動車の排気ガスなど、活性酸素の発生量を増やす因子があふれています。精神的、肉体的なストレスが高まっても、大量のアルコールを摂取しても、糖質を取り過ぎても、活性酸素は増えます。

 

仕事が忙しくて睡眠時間が足りない、やけ酒を飲む、暴飲暴食・・・こうしたストレスが続くと、我々の体に備わった抗酸化システムの処理能力をオーバーしてしまいます。

すると、活性酸素の悪い面が表に出てきて、体が酸化ストレスにさらされます。こうした状態が続けば、老化を早めたり、さまざまな病気の因子を増やしたりと、あまりいいことはありません。酸化ストレスの影響をできるだけ減らす生活を心がけたいものです。

 

 

 

 

 

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