アルコールとアセトアルデヒドの分解について
2018.05.22
アルコール=「お酒」を指す言葉として使っていますが、エチルアルコールが含まれる飲料を一般的には“お酒”と呼んでいます。エチルアルコールの化学式は「C2H5OH」。
このエチルアルコールは、体の中の特に肝臓で分解されるのですが、その過程でできるのが“アセトアルデヒド(CH3CHO)”です。
このアセトアルデヒドは酢酸の製造原料や、塗料の溶剤など産業では無くてはならない物質なのですが、一方で体内のアセトアルデヒド濃度が高まると二日酔いの原因になったり、肝機能を低下させ、炎症を引き起こす毒性があるのです。
まず、体内に入ったエチルアルコールは、肝臓内で毒性のあるアセトアルデヒドになった後、身体に無害な酢酸(アセテート(CH3COOH))になります。その後、酢酸は肝臓から血液にのって更に分解され二酸化炭素と水になります。
ここで、どのようにエチルアルコールが体内に入りアセトアルデヒドになり、その後分解されていくのか説明します。
アセトアルデヒドの分解
まず、お酒を飲むと、その成分であるエチルアルコールは、
2割が胃、8割は小腸で吸収され、吸収されたエチルアルコールは血液にのって流れていきます。この時の吸収スピードは速く30分~2時間程度です。この段階ではまだエチルアルコールのままです。
次に、このエチルアルコールは、血液の流れにのって全身をまわる過程で、肝臓を通ります。
肝臓に入ったエチルアルコールは“アルコール脱水素酵素(ADH)”という酵素で酸化され、アセトアルデヒドになります。これが一次代謝といわれます。
このアルコール脱水素酵素(ADH)は、アルコールデヒドロゲナーゼともいわれ、少量は胃、腸、腎、網膜、脳にも存在していますが、大部分が肝臓にあります。そのため、肝臓でほぼアセトアルデヒドは作られるのです。
一次代謝の後、二次代謝が行われます。
体内で毒性を発揮するアセトアルデヒドを無害な“酢酸”に変えるのです。この時に使われるのが、“アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)”という酵素です。
このアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)は種類があり、ALDH1(1型)とALDH2(2型)です。主にALDH2(2型)でアセトアルデヒドから酢酸への酸化は行われますが、ALDH1(1型)も同じように関わっています。
ただ、一般的にアルコールに弱いといわれる人はこのALDH2(2型)の活性が弱いといわれています。日本人がお酒に弱いといわれるのは、このALDH2(2型)に要因があります。
肝臓内でエチルアルコールがアセトアルデヒドになり、身体に無害な酢酸となった後、アセチルCoAとして”TCAサイクル”(TCA回路、クエン酸回路)にのってエネルギーになり二酸化炭素や水になります。その後、尿として体内から排出されます。
今後、TCAサイクルについては改めて詳しく説明しますが、アルコールとアセトアルデヒド分解というのは、エチルアルコールが毒性のあるアセトアルデヒドになり、無害な酢酸になって二酸化炭素と水になることをいいます。
この分解がうまくいかず、アセトアルデヒドのまま体内に残ってしまうと悪酔いしてしまったり、次の日まで分解されないまま残ってしまうと、二日酔いとなります。
アルコール分解は、ほぼ肝臓内の”ミトコンドリア”で行われており、このミトコンドリアがアルコール分解をスムーズに行うためには、大量の酸素と糖とこれを分解して出来るエネルギーの役目が重要です。