芝浦工業大学システム理工学部生命科学科・分子細胞生物学研究室
福井 浩二 教授
【研究者インタビュー】老化研究の第一人者が語る、科学的アンチエイジングの現在地(前編)では、先生が長年探求されてきた老化のメカニズムや、食を通じた「予防医学」という研究哲学について伺いました。
後編では、先生が「これはすごい」と感じたというサプリメント「Twendee X」との出会いや、その研究結果について深掘りしていきます。さらに、研究室での偶然の発見や今後の認知症研究の展望など、先生の尽きない探究心の源泉に迫ります。
―先生が抗酸化サプリメント「Twendee X」の研究を始められたきっかけを教えていただけますか?
福井先生:Twendee Xの研究を始めることになったのは、日本酸化ストレス学会の名誉理事長で、酸化ストレス研究の第一人者でもある吉川敏一先生からのご紹介がきっかけでした。吉川先生は、私が学生の頃には雲の上の存在で、会話すらしたことがないような偉い先生です。その先生が、うちの研究室が持つ行動解析の評価系をよくご存知で、岐阜大学の犬房春彦先生をご紹介くださったんです。
数ある素材の中で、なぜTwendee Xに興味を持ったかというと、あの「ミックスサプリメント」というコンセプトがすごいと思ったからです。世の中には「サプリは効かない」なんて言う人もいますが、Twendee Xは、私が研究を始める前から、ヒトでしっかりと科学的根拠(エビデンス)が出ているという点も大きかったですね。
それに、自分で複数のサプリを飲むにしても、何をどれだけ、どのタイミングで飲めばいいかなんて、普通は分かりませんよね。でもTwendee Xは犬房先生が考え抜いた8種類の成分が、最適な量でしっかりと組み込まれている。これには本当に「すごいな」と思いました。
初めて成分のリストを見た時、直感的に「これはいける」と思いましたよ(笑)。なぜなら、ビタミンB群やC、コエンザイムQ10といったビタミン類だけでなく、アミノ酸も含まれている。この組み合わせが非常に面白いと感じたんです。私自身、最近の研究でビタミンだけでなくアミノ酸も酸化ストレスに対して良い効果があるのではないかと考えていたので、まさに興味深い素材でした。私自身は長年ビタミンEの研究をしてきたので、このTwendee Xを自分の評価系で見てみたい、と強く思ったんです。
そして実際にマウスで実験をしてみて、本当に驚きました。Twendee Xには、私が専門としてきた脂溶性のビタミンは含まれていません。それにもかかわらず、マウスの認知機能がぐっと良くなったんです。つまり、脂溶性ビタミンを含まなくても、他の成分の組み合わせで効果が出るということです。
しかも、うちで使っているのは、遺伝子を操作した特殊なマウスではなく、自然に年を取ったり、高脂肪食で太ったりした、ごく普通の「自然なモデルマウス」です。こういった自然なモデルに、天然由来の素材を投与して、これほど劇的に効くなんてことは、本当になかなかありません。だからこそ、この結果には心からびっくりしたんです。天然由来の素材でこれだけの結果が出るというのは、本当にすごいことですよ。
―研究を進める中で、予期せぬ発見をされることはあるのでしょうか?
福井先生:研究をしていると、思いもよらない発見に巡り合うことがあります。例えば、ビタミンEの研究をしていた時です。もともとは抗酸化作用を期待して実験をしていたのですが、ある種のビタミンEをマウスに与えたら、なんと「痩せた」んです。皮下脂肪が減るというデータが取れて、何度やっても痩せる。これは全く予期していなかった結果で、最初はそんなつもりで始めた実験では全くありませんでした。
こういった偶然の発見を見逃さないために、私がいつも心がけているのは、学生さんとのコミュニケーションです。実験の現場を動かしてくれているのは学生さんたちですから、彼らがどんな些細なことでも報告できるような「風通しの良い雰囲気」を作ることが何よりも大切だと思っています。
そうすれば、「先生、なんだかこんな結果になっちゃったんですけど…」と、私が思ってもみなかったようなデータが出てきた時に、それをちゃんと報告してくれる。そこから「お、それは面白そうだ。もう少し突き詰めてみようか」という新しい展開が生まれるわけです。研究室の雰囲気がギクシャクしていて、報告だけでディスカッションもないようでは、こうした貴重な発見の芽を見過ごしてしまいますからね。
だから私は学生たちにいつも言うんです。「生データを、もう舐め回すように見なさい」と。パソコンの画面をじーっと見て、いろんな角度から考えてみる。もしかしたら、そのデータの中にノーベル賞級の発見が隠れているかもしれない。それに気づかないのは非常にもったいないことだと。だから「変化ありませんでした」で終わらせず、じっくり観察しなさい、と。
研究を進める上で、学生さんは私にとって「パートナー」です。だから、私は彼らをあまり怒ったりはしません。私たちの共通の目的は、いかに効率よく、最短で研究成果を出すか。そのためにはどうすればいいか、何を工夫すればいいか、どうタイムマネジメントすればいいか。それを一緒に考えるんです。
わからないまま「とりあえずやってみよう」というのは、結局遠回りになる。だから、実験を始める前に、可能性の低い選択肢はできるだけ削ぎ落として、「これなら間違いないだろう」という太い幹を見つけてから、最後の確認として実験に臨む。これが私のスタイルです。
そして何より、研究テーマは学生さん自身に選ばせています。私が強制的に決めるのではなく、本人が興味を持って始めたテーマだからこそ、そこに強いモチベーションが生まれる。それが良い結果につながる一番の秘訣かもしれませんね。
―近年、認知症への関心は非常に高まっています。この分野の研究は今後どうなっていくとお考えですか?
福井先生:認知症に対する社会の認識は、ここ数十年で大きく変わりました。最初は「あの人も年を取ったね」くらいだったのが、「認知症」や「認知症予備軍」という言葉が使われるようになり、今では「認知症にならないように」と、サプリメントや軽い運動、フレイル予防などに取り組むのが当たり前になってきています。一般の方も含めて、科学的根拠に基づいた予防という段階に、社会全体が入ってきたなと感じています。
先日、日本老年学会に参加したのですが、そこで興味深い話を聞きました。最近の皆さんの認知症予防に対する意識が非常に高まっているので、これまで予測されていた患者数の急激な増加は、少し緩やかになるかもしれない、と。統計を修正する必要があるかもしれない、という話まで出ていました。それくらい、予防意識が社会に浸透してきているということでしょう。とはいえ、患者さんが増える傾向自体は、残念ながら今後も続くと思います。
今、老化研究の分野で非常に流行っているのが、「老化細胞」を除去する「セノリティクス」というアプローチです。老化して炎症を引き起こす細胞だけを取り除く薬が開発されていて、学会でも活発に議論されています。ただ、学会の重鎮の先生が「その薬を飲んだら、私の細胞は全部死んじゃうんですか?」なんて鉄板の質問をしたりもするんですけどね(笑)。効果はあると思いますが、それだけで老化の全てが解決するわけではないと、私は冷静に見ています。
私自身が個人的に強い興味を持っているのは、「カロリー制限」です。カロリーを制限すると、線虫から猿まで、様々な生物で寿命が延びるという研究結果が数多く報告されています。そのメカニズムの一つとして、代謝が落ちることで酸素の消費が減り、結果的に酸化ストレスが低下する、ということが考えられます。
ならば逆に、カロリーをたくさん摂ったらどうなるのか?つまり、肥満は老化を早めるのか?ということに興味があります。私がアメリカのカロリー制限研究の第一人者のもとから帰国して以来、肥満マウスを使った研究を続けているのは、そうした背景があるんです。実際に抗酸化物質であるビタミンを投与したらマウスが痩せた、という発見も、この流れから生まれました。
世の中には「小太りの方が長生きする」なんて話もありますし、「糖質制限は本当に健康にいいのか」といったテーマも非常に興味深い。老化細胞の研究ももちろん重要ですが、私としては、こうした食生活と老化の関係を、これからも深く探求していきたいと思っています。
Twendee Xがもたらした劇的な効果から、カロリー制限への尽きない探求心まで、先生の科学に対する情熱が伝わるお話でした。「生データを舐め回すように見る」という言葉に象徴されるように、データと真摯に向き合う研究者としての姿勢が非常に印象的です。
ご自身の役割は基礎研究の確立にあるとしながらも、動物実験の先にある、生活環境が違う一人ひとりが効果を実感することの大切さまで見据えていらっしゃいます。先生の揺るぎない基礎研究が、多くの人々の健康長寿という形で実を結ぶ未来に、大きな期待が寄せられます。
芝浦工業大学システム理工学部生命科学科・分子細胞生物学研究室
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https://sit-mcblab.sakura.ne.jp/
【共同研究の論文リンク】
A Blended Vitamin Supplement Improves Spatial Cognitive and Short-Term Memory in Aged Mice.
A mixed antioxidant supplement improves cognitive function, and coordination in aged mice.
医療関係者様向けに、Twendee Xの無償サンプル提供を行っております。
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