2020.02.13
高血圧に関係する疾患について
今回は高血圧のお話です。よく病院だけでなく薬局やスポーツジム、プールなどに血圧を測る機械が設置されています。それだけ血圧を気にしている方が多く、そして自分の血圧を知ることが大切であるということですね。
高血圧は放置しておくと、別の病気や症状を引き起こしてしまいますし、更にはそれが命に関わる場合があります。
では、具体的にどんな病気につながるのでしょうか?簡単に高血圧と高血圧が原因でかかる病気について解説します。
まず血圧というのは、血管の内部にかかる圧力です。
心臓は全身に血液を巡らせるために、ポンプのように圧力をかけて血管に血液を送り出します。その圧力が血圧です。圧力が低いと血液が全身に巡らせることができなくなってしまうのである程度の圧力は必要ですが、この圧力が必要以上に高くなっている状態を高血圧と言います。
血圧には、収縮期血圧と拡張期血圧があり、皆さんよく「上が○○で、下が○○…」いう言い方を耳にすると思います。ここでいう上は 収縮期血圧つまり心臓がグッと収縮して血液を送っている状態の血圧で、下が拡張期血圧、心臓が拡張して血液が戻ってきている時の血圧を指します。
収縮期血圧も拡張期血圧も両方とも重要な数値ですのでどちらかに気を付けていれば良いというわけではありません。
高血圧は収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上で診断されます。
さらに高血圧は下記の3段階に分けられます。
成人血圧 分類: 収縮期血圧 / 拡張期血圧 (単位:mmHg)
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軽症高血圧(Ⅰ度高血圧): 149-159 かつ/または 90-99
中等症高血圧(Ⅱ度高血圧): 160-179 かつ/または 100-109
重症高血圧(Ⅲ度高血圧): 180以上 かつ/または 110以上
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血圧は普通に生活していても変動します。ちょっと速足で数分歩くだけでも上がりますので、1回測定した血圧が高血圧の範囲に当てはまっていてもそんなに慌てることはありません。しかし慢性的にいつ測定しても数値が高い場合には、高血圧の可能性があります。
慢性的に高血圧の状態が続くということは血管に必要以上の圧力がかかり続けている状態になりますので、血管がダメージを受けてしまいます。それが様々な病気につながるのです。
高血圧の多くは基本的に動脈硬化と関連しています。動脈硬化は、簡単に言えば動脈の血管が固くなり血液がうまく送れない状態です。
動脈硬化によって例えば心臓の血管が詰まってくると狭心症あるいは心筋梗塞を起こします。そして脳の血管が詰まってくると脳梗塞や脳出血の原因にもなります。脳出血の場合は血圧が高いだけでもその原因になります。
心筋梗塞や脳梗塞、脳出血と聞いただけで怖い病気ですね。しかしこれらの病気は発見が遅れると命に関わります。ですから慢性的な高血圧は、生命維持、特に大切な心臓や脳の病気のリスクにつながるということを覚えておきましょう。動脈硬化については、以前の記事でも紹介していますので参考にしてください。
【以前の記事】
「「血管の老化」とはどのような状態のことなのでしょうか?(https://antioxidantres.jp/column092/)」
ここで血圧と脳出血の”なるほど!話”をしましょう。
皆さん、キリンという動物をご存知ですね。キリンは哺乳類の中では最も首が長い動物で、成体の身長は4m以上にもなります。つまりキリンの心臓は3〜4m先の高さにある脳まで血液を送るためには、非常に高い血圧でないと血液を上げることはできません。
ですからキリンの最高血圧は、なんと240mmHgくらいあるのです!しかしこの高い血圧のキリンが、病気やケガで横になることがあります。すると脳出血を起こして死んでしまうのだそうです。横のなってしまうと、高い血圧で脳に血液を送る必要がなくなりますから、高血圧が脳出血の原因になるということですね。
ですから私は、脳出血を起こした患者さんに「これはキリン並みの血圧ですよ。危ないから、ちゃんと治療しましょう。」というようなことを申しあげることがあります。
高血圧は血管の老化につながるだけでなく、非常に怖い病気につながります。なぜなら高血圧も酸化ストレスに関連しているからです。しかし軽度の高血圧であれば生活習慣の改善で治ることがあります。血圧が高い場合は、ご自分の生活習慣を見直してみるといいでしょう。
このサイトでは血管の老化と酸化ストレスの関連性も紹介していますのでぜひ参考にしてください。
【参考】
「「血管の老化」とはどのような状態のことなのでしょうか?(https://antioxidantres.jp/column092/)」
「血圧の高い方のお酒の飲み方(https://antioxidantres.jp/column061/)」