【医師監修】酸化ストレスと緑内障の関係とは!?緑内障の原因も併せて解説

2021.09.14

【医師監修】酸化ストレスと緑内障の関係とは!?緑内障の原因も併せて解説

酸化ストレスは体内の活性酸素量と抗酸化システムのバランスが崩れた状態です。酸化ストレス状態に陥ると活性酸素が健康な細胞を攻撃します。緑内障はなんらかの原因で眼圧が上昇して視神経が損傷する病気です。酸化ストレスは緑内障の要因にもなりうるため、酸化ストレス対策をすることは緑内障の予防にも役立ちます。

 

この記事では酸化ストレスと緑内障の関係、緑内障の原因、酸化ストレス対策の具体的な方法について解説します。

緑内障の原因と酸化ストレスの関係

 

緑内障は視神経の損傷が進行していく病気です。緑内障による視野障害は徐々に進行するため、気づくまでに時間がかかることが多いです。眼の中には房水と呼ばれる液体があり、それが眼に栄養を与えています。

 

房水を排出する管が詰まったりふさがったりすると、房水がうまく排出されずに眼圧が極端に上がり視神経が損傷します。この状態が緑内障です。しかし眼圧が高くないのに緑内障を患う人もいることから、眼圧の上昇は緑内障の原因の一つではありますが、全てではありません。緑内障の正確な原因は、まだはっきりされていないのです。

 

関連記事: ドライアイに関連する疾患と眼の疾患と酸化ストレス(ルイ・パストゥール医学研究センター 抗酸化研究室)

 

酸化ストレスが眼圧上昇を招く

日本の緑内障患者の多くは眼圧が正常範囲であるため、眼圧以外の原因があるのではないかと考えられていましたが、近年では緑内障の発症と進行に酸化ストレスの影響が言われるようになりました。

 

人間は酸素を取り込んで生命活動を維持していますが、同時に活性酸素も産生されてしまいます。過剰に産出されて体内の抗酸化システムの働きを上回ると健康な細胞を傷つけるようになります。

 

酸化ストレスが眼の中で上昇すれば、当然視神経を傷つけることになります。緑内障の治療は、点眼薬や手術で眼圧を下げることがエビデンスのある唯一の治療法でしたが、酸化ストレス対策も緑内障の予防と治療に役立つと言えるでしょう。

 

酸化ストレスを抑えて緑内障を予防する方法

緑内障の発症と進行に酸化ストレスの影響があるので、酸化ストレスを回避もしくは軽減することは緑内障の予防に効果があると言えます。

 

酸化ストレスの原因となる活性酸素を過剰に産出する行動をひかえて酸化ストレスを回避し、同時に抗酸化物質を摂取して酸化ストレスの軽減にも努めるのが有効です。例えば紫外線や喫煙、過度なアルコールの摂取などは活性酸素を過剰に産出するため、できるだけ控えることで酸化ストレスを回避することが可能です。

 

また、抗酸化物質は食品からバランスよく摂取することが、足りない分はサプリメントから補うことも可能です。日常生活の見直しが効果的ということです。

 

紫外線を避ける

紫外線には表皮にダメージを与えてシミやくすみを作るUVBと真皮にダメージを与えてシワやたるみを作るUVAがあります。

 

どちらも細胞内に過酸化水素などの活性酸素を発生させるため酸化ストレスにつながります。過酸化水素は漂白剤にも使われる強い成分です。過酸化水素が大量に発生するほどの強い紫外線を浴び続けると肌の表面に赤い炎症が起きたり水ぶくれができたりします。

 

これが日焼けと呼ばれる状態です。肌にダメージを与え酸化ストレスにもつながってしまう紫外線を回避するには日傘やカーディガンなどで肌を直射日光から守り、地表面からの反射を防ぐために日焼け止めを使うのが良いでしょう。

 

日焼け止めはSPFやPAの値が高いもののほうが効果もありますが、その分肌へのダメージも大きくなります。日常生活では弱いもの、アウトドアには強いものと使い分けると安心です。また、眼にも紫外線は当たり酸化ストレスの障害を受けてしまうので、サングラスも合わせて使うと予防効果が上がります。

 

喫煙や過度なアルコールを避ける

たばこの煙には活性酸素やアセトアルデヒドなど多くの有害物質が含まれています。アセトアルデヒドなどは体内に入ると活性酸素を引き起こします。また喫煙でそのものを体内に取り入れるため、二重の酸化ストレス要因となるのです。

 

さらに喫煙による酸化ストレスは動脈硬化をも引き起こし、がんをはじめとするさまざまな疾患の原因にもなります。アルコールは適量であればコミュニケーションを円滑にし精神的なストレスを軽減するため、酸化ストレス対策に役立つ部分もあります。

 

しかしアルコールの代謝で生成されるアセトアルデヒドは体内で活性酸素を産出するため、過度な飲酒は酸化ストレスを招きます。アルコールを分解する肝臓は人体の中でも代謝が旺盛な部分です。肝臓では活性酸素の産出と除去を多く行っているため、肝臓への負担は酸化ストレスにつながりさらには多くの慢性肝疾患を引き起こすリスクもあります。喫煙もアルコールの大量摂取も、酸化ストレスだけでなく健康維持のために避けたい習慣です。

 

関連記事: アルコール度数が低ければ発生するアセトアルデヒドは少ない?(ルイ・パストゥール医学研究センター 抗酸化研究室)

 

食生活の改善

酸化ストレスを軽減するには体の抗酸化力を上げることも有効です。抗酸化力を上げるには抗酸化物質が含まれた食品を摂ります。抗酸化物質とはたとえばビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール、カロテノイドなどです。

 

ビタミンCはキウイやパプリカなど、ビタミンEはナッツ類や植物油などに多く含まれます。ポリフェノールとカロテノイドは植物由来の抗酸化物質です。ポリフェノールはブルーベリーのアントシアニンや緑茶のカテキン、コーヒーのクロロゲン酸など8000種以上あると言われています。

 

カロテノイドはトマトやホウレン草など色の濃い野菜に多く含まれています。ビタミンEやカロテノイドのひとつであるβ-カロテンは脂溶性です。

 

ごま油で和えたりサラダ油で炒めたりすると吸収率が上がります。抗酸化物質は体内でも生成されますが加齢とともに徐々に減ってしまいます。日常生活で今より少し多めに摂ることを意識してみましょう。

 

関連記事: 酸化ストレスの観点から推奨される食事とは?(ルイ・パストゥール医学研究センター 抗酸化研究室)

 

抗酸化物質を含むサプリメントの摂取

抗酸化力を高める抗酸化物質は食品で摂取できるのが理想ですが、必要量を毎日摂るのは時間的にも経済的にも簡単ではありません。足りない分はサプリメントで補うことも考えましょう。サプリメントで摂取するならビタミンCやビタミンEのほか、α-リポ酸も効果があります。

 

α-リポ酸はチオクト酸とも呼ばれるビタミン様物質で、ビタミンCやビタミンEの抗酸化力をリサイクルしたり長持ちさせたりする働きを持っています。サプリメントはドラッグストアや通販などで安く手軽に買えるようになりました。しかし残念なことに効果や根拠が疑わしいものも存在します。

 

サプリメントを選ぶときは目を引くコマーシャルやインパクトの大きい数字ではなく、科学的な根拠や信頼できるデータに基づいて作られているかを見ます。サプリメントは飲み方も大切です。たくさん飲めば良いというものではありません。自分に必要な成分を、記載された用量を守って飲むことで本来の効果が得られます。

 

まとめ

緑内障の原因は眼圧上昇だけでなく酸化ストレスも関係しています。緑内障の予防には酸化ストレスを避ける、もしくは軽減することが有効です。

 

紫外線や喫煙、過度のアルコールなど活性酸素を産出する行動を控えて酸化ストレスを避け、それでも溜まりがちな酸化ストレスは食品やサプリメントから抗酸化物質を摂取して軽減します。日常生活で酸化ストレスや活性酸素を意識するだけでも変化につながるので、気づいたところから始めていきましょう。