2020.04.07
新型コロナウイルス感染症の治療の現状ー現在病院で行われている治療/ICUでの治療/ECMOについて
感染者に対してはまず対処療法が行われます。つまりウイルスに対する抜本的な治療薬というのがありませんので、呼吸障害があったらまずは酸素を吸入していただくそして本当に呼吸ができなくなったら人工呼吸器を付ける更に酷くなったら志村けんさんのように体外循環をして心肺機能を機械に頼るというようなことが行われています。
そして当初私はこの肺炎が間質性肺炎であると指摘したのですが、特発性の間質性肺炎ですとステロイドが比較的効果があるのですが、このコロナウイルスの間質性肺炎はいったん重症化してしまうとステロイドが効かないという報告がアメリカから出されています。
ですから本当に消炎剤の投与と呼吸管理という対処療法しか現在行われていません。
ICUという所は呼吸と循環の管理が必要な方が入室されます。即ち肺炎が酷くなって酸素吸入をしているだけでは足らなくて人工呼吸器が必要であるという重篤な方と考えて下さい。
ECMOというのは身体の中の血液を外に出して人工心肺と言っていいのですが、そうゆう機械を使ってまたその血液を身体に戻すというような治療法です。これは本当に重篤な患者さんにしか使いませんし、また使える機械の数も限られています。
まずECMOの前にこうゆうウイルス感染の時に陰圧室という部屋を使います。つまり空気が陰圧になっていて中のウイルスが外に漏れないというような部屋ですね。これは例えば日本では1000ベッドしかございません。これは台湾だと倍の2000くらいあるのですが。
そして体外循環や呼吸器などといった物がどれくらい使えるかというのが、現在政府が人工呼吸器などの増産の依頼をかけておりこれは日々変わっていくと思いますので、不要な重症者以外を入院させない、という方針でいけば日本では医療崩壊は起こらないのではないかと考えています。
※当動画・テキストで公開している内容は、岐阜大学 抗酸化研究部門 特任教授 犬房春彦の個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません