日本人はアルコールに弱いの?
2018.05.05
日本人がアルコールに弱いのは確かです。
日本人だけではありません。いわゆるアジア系の黄色人種、つまりモンゴロイドは、遺伝的にお酒に弱いのです。なぜでしょうか?
お酒のアルコールは、肝臓で”アルコール脱水素酵素(ADH)”と”アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)”によって分解されて無害化されます。
この2種類の酵素のうち、アセトアルデヒド脱水素酵素には、血中のアセトアルデヒド濃度が高いときに働く「ALDH1」と、主にアセトアルデヒド濃度が低いときに働く「ALDH2」があります。この「ALDH2」の働きが、もともと弱いか、全く持っていない人がいるのです。
その割合は、統計によって数字は上下しますが、おおよそ半数。つまり、モンゴロイドは半数の人が、お酒に弱いか、まったく飲めない体質なのです。
一方、黒人や白人では、「ALDH2」の働きが弱い、あるいは持っていない人の割合は0%。全員がお酒に強いんです。英語圏で、お酒を飲んで顔が赤くなることをアジアンフラッシュと言ったりしますが、欧米では珍しい現象なのでしょう。
現生人類がアフリカで発生し、その後、世界に移動したと言われています。
人類の進化の過程を見ると、人類がアフリカを出て世界に散らばり、アジア系の祖先が誕生する過程で突然変異が起き、アルコールに弱い人が生まれたと考えるのが自然でしょう。
お酒が弱い、飲めないという人は、宴会などの誘いがあると苦痛に感じることもあるでしょうが、こればっかりはどうにもなりません。酒は百薬の長とも言いますが、飲み過ぎれば体を壊します。アルコールに弱い人は、「酒で体を壊さないですむよう、神様が配慮してくれたんだ」とできるだけ前向きに考えるようにしましょう。