有害物質アセトアルデヒドとは何か?
2018.05.05
アルコールが体に入ると、肝臓で代謝されてアセトアルデヒドを生成することは、よく知られています。
この物質、お酒との関連で語られることが多いのですが、植物の代謝過程でも精製される物質でもあるほか、酢酸の製造原料として大量に生産されており、塗料の溶剤や合板の接着剤、防腐剤、防かび剤などを作るときに、無くてはならない物質でもあります。
産業的には有益な部分の多いアセトアルデヒドですが、その一方で毒性があり、アルコールを大量に摂取してアセトアルデヒドの濃度が体内で高まると、二日酔いの原因になるだけではなく肝臓の機能を低下させて炎症を引き起こしたりします。
また、建築材料の接着剤や防かび剤から揮発するアセトアルデヒドが、シックハウス症候群の原因となることも、よく知られている通りです。
中でも問題なのが発がん性があることです。これは動物実験でも、人を対象とした長期間の調査でも確かめられています。アセトアルデヒドが引き起こす可能性のあるがんの種類は、食道がん、胃がん、乳がん、大腸がんなど、あげるとキリがないほど多いのです。
また、アルツハイマー病のような神経障害を起こすことも大規模な調査で明らかになっています。アセトアルデヒドは化学的な反応性が高いために、白血球などの細胞を障害しますので免疫力も落ちてしまいます。
「冬、大酒を飲んだ後に風邪ひく」という話を聞いたことがありますが、もしかしたら、アセトアルデヒドによって免疫が落ちるからかもしれません。
さまざまな研究のデータを見ても、アセトアルデヒドが白血球などの細胞を傷つけているのは間違いありません。たとえばアルコールを大量にマウスに与えると、細胞の酸化度がとても上がるのです。
「酸化度が上がる=体がサビる=老化が早くなる」のです。
アルコール中毒の人が実年齢よりも老けてみえるのはそのせいでしょう。
アルコール耐性は人によって大きく違いますが、長期間にわたって大量のお酒を飲み続けることは、体にとって良いことではありません。老化を早め、寿命を縮めます。
そういえばみなさん、ウコンのCMを見て「肝臓に良い」と思って、宴会の前や後に、ウコンのサプリメントや飲料を飲んでいませんか?
これ実は誤解なのです。
動物実験をすると確かにアルコールの代謝を少し高めていると思われる結果は出るのです。しかも、すぐに代謝スピードは元に戻ってしまう。これでは、急性アルコール中毒の治療には使えないのは無理もありません。要するに、データの見方によっては「効果があるといえば言えるなあ」という程度だと知っておいてください。
むしろ、ウコンにはひとつ、重大な問題があります。実はウコンには鉄分が多く含まれているのです。肝機能障害を起こしたり、肝炎や肝臓がんを発症している人は、鉄分を取り過ぎると、薬物治療が効きにくくなるのです。
ですからウコンを大量に摂取して体内の鉄分が増えすぎると、「治療が効かない」、「がんがどんどん大きくなる」ことだって大いにあり得ます。 肝臓が悪い方は、鉄分が多いウコン製品は出来るだけ避けることが大切です。