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岐阜大学 ライフサイエンスリサーチセンター
抗酸化研究部門

岐阜大学 ライフサイエンスリサーチセンター 抗酸化研究部門

ミトコンドリアがサボる?

2018.05.05

 

このテーマは、どこにも発表されていません。しかし、きわめておもしろい説なので概略を紹介します。

まず、ミトコンドリアについておさらい。

 

 

ミトコンドリアという名前は、みなさんも一度は聞いたことがあると思います。細胞の中で独自の働きをする細胞、つまり「細胞内小器官」と呼ばれるものです。赤血球を除くほとんどすべての細胞に存在し、特に肝臓、腎臓、筋肉、脳など、エネルギーを多く使う臓器ほど、数多く存在します。

 

 

食事から取り込んだ栄養素と、空気中から取り込んだ酸素を使って、体の細胞が活動するために必要なエネルギー(ATP=アデノシン三リン酸)のほとんどをミトコンドリアが供給しています。

体に取り込んだ糖質と呼吸で取り込んだ酸素をめいっぱい使って、活動エネルギーを生産する小さな力持ちなのです。

 

我々の研究では、血糖値が上がると酸化ストレスも上がることは実験で確かめていたのですが、なぜ血糖値が上がると酸化ストレスが増えるのか、理由がまったくわからない。

それで、東京大学大学院農学生命科学研究科生体影響評価研究室の局博一(つぼね ひろかず)名誉教授に教えを請うたのです。

 

「糖質を食べると、ミトコンドリアがサボるからですよ」

と局先生。

 

「えっ? サボる?」

目が点になりました。

 

局先生のお話をうかがって、納得しました。

 

 

 

まず、糖質(グルコース)は簡単にエネルギーに変換できます。

ミトコンドリアも楽ができるんですね。しかし、ミトコンドリアはエネルギー不足のときにも十分なエネルギーを生み出す能力を持っている。当然、それに必要な酸素も体は取り込んでいます。

 

ところが、エネルギー生成が楽な糖質をいっぱい摂取すると、酸素をあまり使わなくてもエネルギー生成ができてしまう。余った酸素はどうなるのか。

そう!活性酸素と化すのです。

 

我々人類の歴史は、野生生物がそうであるように、飢餓との戦いでもありました。体は飢餓に対応できるようにできているんですね。

ところがここ数十年から100年くらいの間に、先進国の人たちは飢餓を脱し、糖質をふんだんに摂取できるようになりました。

この豊かな暮らしが、余計な活性酸素生成の原因のひとつなのです。血糖値の上昇と酸化ストレスの関係が、よくわかります。

 

局先生によれば、この説を証明するデータはすべてそろっているとのこと。あまりにおもしろいので局先生には論文を書いてもらうよう、お願いしています。これからが楽しみです。

 

 

 

 

 

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