研究内容

抗酸化研究について

研究は、抗酸化サプリメントを用いて酸化ストレスが関連する様々な疾患に対する予防・治療に寄与することを目標としています。酸化ストレスは120種類以上もの様々な疾患に深く関与しています。そのため、当研究室では酸化ストレスが細胞や組織に与える影響や抗酸化サプリメントによる酸化ストレスの軽減、疾患に対する予防や治療への効果について検証をし続けています。

研究で得られた成果を多くの方に伝えることによって、最終的には“健康長寿社会”の実現に 寄与することを最終目標としています。

酸化ストレスとは ?

空気中の酸素はそれ自身も毒性を持っていますが、外から侵入してきた細菌やウイルスをやっつけるほど毒性は強くありません。生物はこの酸素を呼吸によって体内に取り込み、生命活動に必要なエネルギー産生に利用する術を得ました。この時、同時に副産物として、酸素より活性の高い毒物「活性酸素」が産生されます。生物はこの毒性を利用して、外から侵入してきた細菌やウイルスをやっつける武器として、また生殖関連や記憶関連の刺激剤としてバランスよく利用されています。
しかし毒性の強い活性酸素を体内に野放しにするわけにはいきません。そのため、毒物を中和させる能力(抗酸化力)を獲得します。この能力と活性酸素の毒性の均衡が取れず、毒性が体内で多く存在するバランスの崩れた状態を酸化ストレスと言います。

活性酸素は紫外線や放射線、細菌等による感染、大気汚染などの外的因子、喫煙や大量の飲酒などの生活習慣や病気、ストレスなど様々な要因でも産生されます。

酸化ストレスと関連疾患

活性酸素は脂質でできている細胞膜を容易に傷害します。これにより細胞傷害や、ひどい場合には細胞死が起きます。またDNAや酵素、LDLコレステロールなども障害されます。さらに、抗酸化力は通常20代をピークに、加齢と共に徐々に低下します。こうしてバランスが活性酸素に傾くと、身体は活性酸素による害を抑えきれず身体の恒常性機能が損なわれ、様々な疾患の原因となります。
高酸化ストレス状態により身体が壊される(酸化される)様は釘のサビやリンゴの変色に例えられます。酸化ストレスを防ぐには、両者のバランスを保つことが重要です。

抗酸化の基本

身体の抗酸化力を高め、酸化ストレスを低減させるためには、食事、運動、睡眠、その他の生活習慣の見直しが 基本です。
健康的な生活習慣を心がけることで、健康の維持や疾患の予防に寄与することが期待できます。以下に具体的な方法をご紹介します。

食事

ビタミンやミネラルが豊富な 食品をバランスよく摂ることが重要です。できるだけ多くの食材をバランスよく摂取することを心がけましょう。
適切な カロリー摂取は、過剰な酸化ストレスの原因となる 肥満を防ぎます。腹八分目の食事を心がけましょう。

運動

適度な運動は、抗酸化酵素の活性を高めるのに有効です。1週間に150分程度の運動を心がけると良いでしょう。これは例えば1日に約30分、週5日のウォーキングやジョギングで達成できます。

睡眠

十分な睡眠は、体内の修復機能を活性化させ抗酸化力を高めます。1日に7~8時間の質の高い睡眠を取ることを目指しましょう。

その他生活習慣

タバコの喫煙や大量飲酒、不規則な生活習慣は酸化ストレスを上昇させるので避けましょう。また、紫外線に当たると酸化ストレスが発生します。紫外線から肌を守るために日焼け止めを使用し、帽子やサングラスを着用することが効果的です。