がん細胞とがんを防ぐための12か条について
2018.05.31
日本人の死因の第一位は「がん」です。3人にひとりはがんで死亡しています。
ですから、
・がんを予防すること
・万が一がんになったら適切な治療を受けて根治を目指すこと
このふたつが長寿への近道です。
今の世の中、がんについてはありとあらゆる情報が氾濫しています。
中にはあきれるような俗説もあり、医学知識がないと何を信じたらいいかわかりにくいかもしれません。ですからせめて、どうやってがんになるのか、最低限の基礎知識だけはしっかり頭に入れておいてください。そうすれば、基本的な判断基準が見えてくると思います。
人はどうやって「がん」になるのでしょう?
答えを一言でいえば、細胞のミスコピーが原因です。
私たちの体を形成している細胞は、最近の研究では全部で約37兆個あると言われていますが、そのうちの1兆個は、毎日入れ替わっています。
つまり古い細胞が新しい細胞に生まれ変わっているのです。何を材料に新しい細胞ができるのかといえば、食べたものの栄養素、つまりタンパク質やアミノ酸などです。
この細胞が生まれ変わるときに、一部にどうしてもミスコピーが起きてしまいます。このミスコピーが、がん化した細胞と考えてください。ミスコピーの頻度は、だいたい1兆個のうちの5000個。つまり毎日、5000個のがん細胞が生まれています。
ただし、私たちの体にはミスコピーされた細胞を排除する機能もあるので、5000個全てが、がんになるわけではありません。
ミスコピーなので生き延びることができなかったり、免疫細胞がミスコピーだと判断して退治してくれたりしています。
とはいえ、細胞のミスコピーをより減らすことができれば、それだけがんになる可能性は低くなります。ですからがんの予防には、まずは、生まれ変わる細胞の材料となる食べ物に注目したいわけです。
細胞は日々生まれ変わるわけですから、毎日の食事がとても大事です。毎日の食事の際に気をつけておきたいことは、極端にいえば2つです。
ひとつめは、がんを誘発しやすい食べ物を避ける、あるいは減らすこと。
ふたつめは、がんを予防してくれる食べ物があるので、それらを積極的に食べること。
国立がん研究センターがまとめた「がんを防ぐための新12か条」が2011年に公開されていますが、この12か条でも、食生活に関する注意が最も多くなっています。
1.たばこは吸わない
2.他人のたばこの煙をできるだけ避ける
3.お酒はほどほどに
4.バランスのとれた食生活を
5.塩辛い食品は控えめに
6.野菜や果物は不足にならないように
7.適度に運動
8.適切な体重維持
9.ウイルスや細菌の感染予防と治療
10.定期的ながん検診を
11.身体の異常に気がついたら、すぐに受診を
12.正しいがん情報でがんを知ることから
1条と2条がたばこ、続く3条から6条までが食生活に関する注意ですから、12か条のうち半分は、体の中に入るものに気をつけようということです。
毎日の食事に気をつけて、日々生まれ変わる細胞のミスコピーを減らしましょう。それががんを予防するファーストステップであり、もっとも大事なことなのです。
この12か条について簡単にご説明すると、まず、たばこに含まれる発がん性物質のパワーはとても強いため、吸っている本人だけでなく副流煙を吸いこむ身近な人も要注意ということです。
そして食生活は、お酒はほどほどにして、塩分控えめ、野菜・果物をしっかりとってバランスのとれた食事を心がけましょう。
もちろん、太りすぎない、痩せすぎない適切な体重を維持するためには、適度な運動が欠かせません。
感染予防というのは、ウイルスや細菌の感染が原因でなるがんも多いからです。
がん検診や早期受診は当然のこととして、最後の12条の正しいがん情報ですが、人間、心配になってくると冷静な判断ができにくくなるものです。
健康なうちに冷静な視点で情報の真偽を判断するようにしておくとよいと思います。
より具体的な食生活のアドバイスについては、また別の記事でご説明いたします。