「酸化」と「糖化」の違いは?AGEsとはどんなもの?
2018.06.21
最近、「糖化」という言葉をよく聞きませんか? 「糖」というのだから、体の中の糖分が何か関わっているのだろうと思いつつも、詳しくは知らないという人も多いかと思います。
今回は「糖化」のお話です。糖化とはどのようなことが身体で起こっているのか?糖化と酸化の違いはどんなものか?を解説します。
「糖」とは?
まず、「糖」について考えてみましょう。
人間がご飯やパンなどの炭水化物を食べると、炭水化物は消化酵素によって細かく分解され、最終的にブドウ糖という小さな分子にまで分解されてから小腸で吸収されます。
吸収されたブドウ糖は血液中に入り、各器官へと運ばれ、そのブドウ糖は主に体を動かすためのエネルギーになります。
脳にとってもエネルギーとして使うことのできる唯一の物質でありますので、とても重要な物質と言えます。
ただ、重要な物質ではあるのですが、過剰に摂取してしまうと人体に悪い影響が出てきてしまうのです。
糖化とは?
ブドウ糖が過剰である状態というのは、いわゆる「血糖値が高い状態」ということです。
ブドウ糖は通常、エネルギーとして使われる場合は水と二酸化炭素に分解され、外部に排出されていきます。
しかし、血糖値が高く、ブドウ糖が過剰である場合は、そのブドウ糖が体内の各細胞の隙間にはまり込み、体温の熱を得ることによってタンパク質と結びついて排出されないAGEs(終末糖化産物)という物質となって体内に留まり続けて身体の中で悪さをするのです。
AGEsの問題
私たちの体内では、新陳代謝によって不要になった古い細胞は新しい細胞に置き換えられていくものなのですが、このAGEsというのは困ったことに古くなってもその場に留まり続けてしまうので、新しい細胞に置き換えられなくなってしまうのです。
例えるなら、AGEsは引き取ってもらえない粗大ごみのようなものです。壊れた家具は本来なら粗大ごみに出して新しいものに買い替えたいのに、粗大ごみに出す先が無くて部屋の中にずっとあったら、新しい家具を買って置くこともできません。
またそんな粗大ごみが部屋にいくつも溜まっていったら、部屋が使いにくくなってしまいますよね。そんなことが体の細胞で起きてしまうのです。
健康な細胞の中にこの不要なAGEsが混ざることで、血管が脆くなって動脈硬化を起こしたり、内臓の細胞が線維化を起こして機能が低下したり、骨に蓄積すると骨粗鬆症を起こしたり、肌の老化をもたらしたり、さまざまな悪影響をもたらします。こういった糖化によって体にかかる負担のことを「糖化ストレス」と言います。
糖化ストレスと酸化ストレスの関係
さて、以前の記事「ミトコンドリアがさぼる?」(https://antioxidantres.jp/column010/)で、血糖値が高いと「酸化ストレス」が高くなるという話をしました。
細胞の中にあるミトコンドリアは、食事から摂取した栄養素と酸素を使って細胞の活動に必要なエネルギーを作り出しているのですが、血糖値が高くて糖が多くある状態では、酸素よりもエネルギーにしやすい糖の方を使ってしまうため、酸素が余ってしまいます。
その余った酸素が活性酸素になって、体に炎症をもたらす「酸化」の原因になります。酸化による体への負担である酸化ストレスが増大するというお話でした。この酸化ストレスも様々な病気を引き起こします。
つまり血糖値が高いという状態は、「糖化ストレス」、「酸化ストレス」をともに上げてしまいます。
結論として、「糖化」と「酸化」というのは別物ではありますが、両方ともパラレルに動いていくと。考えていただいたらいいでしょう。
つまり、酸化ストレスが高いと、当然、血糖値が高いことによって起こる糖化ストレスが上がっているだろうし、糖化ストレスが高いと、酸化ストレスが高くて当たり前ということになります。
そのため、血糖値が高くなる一定以上の糖尿病の患者さんは、糖化ストレスも酸化ストレスも両方とも上がっている状態なのです。