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岐阜大学 ライフサイエンスリサーチセンター
抗酸化研究部門

岐阜大学 ライフサイエンスリサーチセンター 抗酸化研究部門

飲酒後の入浴、なぜ危険?!

2018.08.23

 

お酒を飲んだ後、お風呂にでも入ってさっぱりしたいなという気持ちになる時がありますが、飲酒後の入浴って良くないといいますよね。

 

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それは一体、どうしてなのでしょう?

 

アルコールの麻酔作用

一定量のお酒を飲むと、いろんな作用が出てきます。ひとつはアルコールの持つ「麻酔作用」があります。この麻酔作用で人は気持ち良くなり、眠くなってしまいます。お風呂で寝てしまったら、おぼれてしまう危険性が高いですよね。

 

お風呂でおぼれて亡くなる方というのは意外に多いのです。例えば、平成28年に関して年間の交通事故死者数が3,904人なのに対して、家庭の浴槽でおぼれて亡くなった方の数は5,138人なんです。お風呂でおぼれる危険性を感じる方って少ないんじゃないかと思いますが、先ほどの数字からもわかるように実はお風呂でおぼれて亡くなる方って本当に多いのです。

お風呂でおぼれて亡くなられた方を検死して調査したところ、13パーセント程の人からアルコールが検出されたという結果報告もあります。

 

割合で表すと少なく感じるかもしれませんが、その割合から人数を計算すると約670人もがアルコールを含んだ状態でお風呂に入っておぼれて亡くなっているわけなんです。

 

血管拡張作用


 そして、アルコールには血管を開く作用もあります。血管が開くと、血液の通るスペースが広くなるということなので、それだけ血圧が低くなりやすいんです。わかりやすく言いますと、ホースから水を出すときに、ホースの先を指でぐっと押してホースの内部を狭くすると水は勢いが良くなりますね。これが血圧の高い状態だと思ってください。逆に指で押さえるのを止めると、ホースの内部は広くなって、水の流れる量は同じでも水の勢いは弱くなりますね。これが血圧の低い状態です。

つまり、アルコールにはこの血管の内部を広くするような作用があるものですから、血圧の変動が起こりやすいんです。

アルコールには血管を開く作用があると言いましたが、入浴にも同じ効果があるんです。ですから、アルコールと入浴との相乗効果で血圧が下がってしまった結果、脳が貧血を起こしてしまう危険性が高まります。

 

入浴に注意しなければいけない年齢

また、入浴に関して言いますと、熱いお風呂に入るとその熱の刺激で血圧が上がったりすることもあります。そのように血圧が乱高下しますと、心臓や脳に負担がかかるという風に言われています。

こうしたお風呂での死亡事故というのは若い方は比較的少ないんです。お風呂で亡くなる方の実に9割が65歳以上の高齢者なのです! ですから、ご年配の方はアルコールを飲み過ぎてしまったなというときにお風呂に入るのは、非常にリスクが高いと思ってください。

 

脱水症状にも注意を

あと、アルコールを飲みますと、脱水状態になることがあります。これはよく温泉旅館などで起こるんですが、「せっかく温泉旅館に来たから楽しく食べて、思いっきり飲むぞ!」といってアルコールを飲み過ぎてしまうなんてことありませんか?

 深酒をして、夜中に露天風呂とかに入って温泉を楽しむ。こんなことをしてしまうと、アルコールの作用によって体の中で脱水が起こっている上に、お風呂の発汗作用でさらに脱水が進んでしまいます。脱水が起こると、血液中の水分も減ります。すると、血液がどろどろになっちゃうんですね。

 

そうなると、血管が詰まりやすくなって、結果として脳梗塞を起こされるという方が非常に多いです。そうなってしまっては、せっかくの旅行も楽しむどころの話ではなくなってしまいます。

お酒を飲んでさらに温泉もというときは、飲む前に温泉を楽しむか、飲む量を控えるようにしましょう。

 

最後に

いろいろとお話しましたが、結論としましては、飲酒とお風呂というのは根本的に相性が良くないのです。ですから、お酒をちょっと飲み過ぎたなという時は、入浴を控えていただくというのが安全面ではいいでしょう。

 

 

【参考】
警察庁交通局(交通事故死者数):

https://www.npa.go.jp/toukei/koutuu48/H28_setsumeishiryo.pdf

消費者庁(家庭内の浴槽での溺死者数):

http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_013/

日本法医学会課題調査報告(浴槽内死亡事故の原因):
http://www.jslm.jp/problem/yokusou.pdf