γ-GTPが高いとアルコールの飲み過ぎ?γ-GTPを下げる方法とは?
2019.05.17
お酒をよく飲まれる方が血液検査で気にする項目にγ-GTP(ガンマ・ジー・ティー・ピー)があります。このγ-GTPとはそもそもどんなもので、なぜγ-GTPがアルコールに関わっていると言われているのでしょうか?
よく耳にする割には、いざ何かと聞かれたら困ってしまうこのγ-GTPについて今回はお話ししましょう。
γ-GTPとは
γ-GTPは胆管の細胞の表面から出てくる酵素です。胆管は肝臓から十二指腸まで胆汁が通る管で、太さ0.5cm~1cm程度の細さです。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、肝臓は私たちが身体に取り込んだ毒物を代謝して有用な胆汁に変えてくれる臓器です。その胆汁を流す管が胆管です。
血液検査ではγ-GTPの他にLDH(乳酸脱水素酵素)、Ch-E(コリンエステラーゼ)、ALPといった項目も調べたりすることがあるのですが、それらはいずれも「逸脱酵素」と呼ばれる酵素です。
酵素というのは、どれにもそれぞれの居場所が決まっています。しかし、γ-GTPと同様にその居場所である臓器などに障害が生じた場合、そこから溢れて血液中に流れ込んでしまうのです。
つまり、本来居るべき場所から逸脱してしまうということで、逸脱酵素と呼ばれているのです。ですから、逸脱酵素の血液中の数値を調べれば、どの部分に障害が生じているかがわかるのです。
γ-GTPの数値からわかること
さて、γ-GTPについて説明しましたが、血液中のγ-GTPを調べてわかることは何でしょうか。
それは、肝臓や胆道系に炎症など何らかの障害があるかどうかということです。例えば肝臓に炎症があったり、胆管に異常があったり、アルコールの飲み過ぎで酸化ストレスがかかっている場合には、γ-GTPの数値が上がってきます。
γ-GTPの正常値とは、男性は10~50IU/L、女性は5~32IU/Lとされています。この値が100IU/Lを超えている場合には、一度、病院で診てもらった方が良いでしょう。また、200IU/Lを超えると胆石や胆道癌などで胆管が詰まっている可能性があります。500IU/Lになると、大量の飲酒や急性アルコール中毒などの状態と言えます。γ-GTPの値は個人差もありますが、血液検査で高い数値が出た時には、いずれにせよ病院に行くべきでしょう。
γ-GTPはアルコールを大量に摂取することで上がります。アルコールは肝臓で代謝される際にアセトアルデヒドという有毒な酸化ストレス物質になります。このアセトアルデヒドは更に代謝されて人体に無害な酢酸にまで分解されて胆管へと流れていきます。
その一度発生した酸化ストレス物質によって胆管周りの酸化ストレスが上がってしまうのです。胆管周りというのはγ-GTPが作られる場所でしたね。つまり、そのように酸化ストレスが上がることとγ-GTPが上がることは大きく関わっていると言えるでしょう。これがγ-GTPが上がりやすい最大の原因と考えられます。
γ-GTPを下げるには
γ-GTPを下げるためにはアルコールを制限すればすぐに効果があるかと言えば、そう簡単にはいかなかったりします。例えば、アルコール性の肝炎であっても、アルコールを飲むのを止めてもγ-GTPが下がらないという現象があります。
単純にアルコールがγ-GTPを上げる原因だと言うのなら、下がらなければおかしいはずです。しかし、そうならないのは、やはりアルコールというよりも酸化ストレスが大きく関わっているということなのです。
酸化ストレスはアルコールを飲むことでも上がりますが、他にも喫煙・不規則な生活・日焼け・精神的なストレスなど様々な要因で上がります。アルコールを控えるのは当然のことながら必要なのですが、アルコールを控えてもγ-GTPが下がらないという人は、身体の酸化ストレスを抑えるというのが一番手っ取り早い方法になります。
規則正しい生活を心掛け、適度な運動をし、飲酒・喫煙を控えてなどと言うのは簡単ですが、いざ実行するのはなかなか大変だったりしますよね。今は酸化ストレスを抑える効果のあるサプリメントもありますので、そういったものを利用するのもひとつの手かもしれません。γ-GTPの値が気になる方は、自分に合った酸化ストレスを下げる方法を見つけられるといいですね。