腎疾患に関わる血液検査の数値、尿酸(UA)、尿素窒素(BUN)クレアチニン(CR)

2019.05.15

 

腎臓に心配がある方は、血液検査の結果の中で特に気になる数値があるかと思います。今回は、腎疾患と血液検査の数値について酸化ストレスの観点からお話します。

 

 

尿酸(UA)について

 

尿酸UAという表記がされていますね。尿酸は食事で摂取したプリン体というものが体内で代謝されてできます。このプリン体は細胞の核の中にある核酸に含まれていますので、細胞数の多いものはプリン体が多くなります。また、細胞分裂が盛んな組織もプリン体が多く含まれます。具体的にプリン体の多い食品を挙げますと、レバー・白子・青魚・鰹節・煮干しなどになります。またビールもプリン体が多い食品です。

食事によって摂取されたプリン体は代謝によって尿酸となり、体の外に排出されます。血液中の尿酸の量を示す尿酸値が高い状態が続くと、痛風が起こるのです。

 

尿酸値には正常とされる値が決まっていますが、個人差もあります。しかし、尿酸値が10mg/dLを超えると、痛風発作を起こす確率が90パーセントを超えるので注意が必要です。

 

尿素窒素(BUN)

 

血液検査の尿素窒素(BUN)という項目では血液中の尿素に含まれる窒素の量を測定した結果が示されています。

 

尿素窒素が高い場合には、腎臓の機能が十分に働いていない可能性があります。しかし、腎臓の機能を一番反映するのはクレアチニンというもので、尿素窒素よりもクレアチニンの方が腎臓の機能を正確に反映していると考えると良いでしょう。

尿素窒素は消化管に出血があると、それを再吸収して尿素窒素の値を上げるというようなことがあります。ですから、尿素窒素は腎臓だけの問題ではなく、そういった消化管の問題でも上昇する場合があることを覚えておくといいでしょう。

 

クレアチニンと尿素窒素は連動する場合もありますし、別個に動く場合もあります。尿素窒素の値とクレアチニンの値を比較することで、問題が生じている臓器が腎臓なのか他の臓器なのかということを推測することができるのです。

クレアチニン(CR)

 

クレアチニンは血液検査の他に尿検査でも基準値として使われています。血液検査では血清クレアチニン、尿検査では純粋にクレアチニンの含有量を調べます。

クレアチニンは筋肉で作られる老廃物の1つです。通常であれば血液中のクレアチニンは腎臓でろ過されて、尿の中に排出されます。ですから、尿中のクレアチニンの値が低下しているような場合は、血液中のクレアチニンがちゃんと排出されていないということであり、血清クレアチニンの値は高くなるというわけです。つまり、血液検査の血清クレアチニンの値が高いと、腎臓に疾患がある可能性があります。

 

腎疾患と酸化ストレスの関係

 

これらの血液検査で腎臓に関わる検査項目の数値が高いということは、腎臓機能が低下しているということを示します。

その原因として考えられる病気の代表的なものに腎炎があります。腎炎には腎臓がウイルスで炎症を起こすものもありますし、原因不明の炎症もあります。また糖尿病性腎炎というのは、血糖値が高くて酸化ストレスが高くなって腎臓が炎症を起こしています。

 

いずれにしても、炎症があるという状態は酸化ストレスが高まっている状態ですから、基本的には酸化ストレスを下げてやることで腎臓の炎症もよくなると考えられます。

 

最後に

 

腎臓だけではなく、酸化ストレスは150種類もの病気に関わっていると言われます。なぜなら、病気というのはたいてい何らかの炎症が起きているのですが、炎症と酸化ストレス、これは鶏が先か、卵が先かというような関係です。どちらが先かはわからなくても、炎症が起こっているところには、全て酸化ストレスが存在すると考えていいと思います。

 

病気を引き起こしている炎症には酸化ストレスがあり、酸化ストレスがあるところには炎症があるわけですから、酸化ストレスを下げることで様々な病気を予防し、症状を改善されることが期待できます。日常生活の様々な場面で酸化ストレスが増える可能性があります。日頃から酸化ストレスを下げるように心掛けることで病気を予防し、健康で長生きすることを目指しましょう。