お酒の一気飲みとゆっくり飲むのとでは、酸化ストレスはどちらが高い?
2020.05.20
今回は、お酒の飲み方についてお話します。
大量のお酒を一気に飲む、いわゆる「一気飲み」は急性アルコール中毒になる可能性がありますので、大変危険です。そのため一気飲みをしてはいけませんし、一気飲みを勧める行為もしてはいけません。
アルコール分解の過程でできるアセトアルデヒドは、身体をサビさせる原因になる毒物です。アルコールを飲んだ場合には、このアセトアルデヒドが必ず体内に発生します。
このアセトアルデヒドが分解されずに体内に残ると、身体がだるくなったり頭痛がします。また、翌日までこの状態が続く二日酔もアセトアルデヒドが原因です。
では、同じ量のアルコールを短時間で飲むのと、時間をかけて飲むのとでは酸化ストレにの差はあるのでしょうか?
お酒を短時間で飲む場合と長時間で飲む場合
同じ量のアルコールを一気に飲んだ場合と時間をかけてゆっくり飲んだ場合では体内に入るアルコールの量は同じなので、身体の中の酸化ストレスの値も同じになるのではないかと思うかもしれませんが、これには大きな差があります。
「一気飲み」で大量のアルコールを飲んでしまうと、胃と小腸から大量のアルコールが吸収されます。
そうすると、アルコールが代謝されてできたアセトアルデヒドが体内で上昇します。体内のアセトアルデヒドの濃度が高くなると身体をサビさせる作用が身体の様々なところに起きるのです。
不幸にも一気飲みが原因で「急性アルコール中毒」を起こし、亡くなられた方がいらっしゃいます。この場合一気飲みによって代謝されなかったアルコールと代謝されてできるアセトアルデヒドが非常に高くなって、いろんな細胞にダメージを与えます。極端ですが、例えば呼吸や心臓を動かす脳神経にダメージを受けると、呼吸ができなくなるもしくは心臓が止まり、そのまま亡くなってしまいます。
しかし、一気に飲むと急性アルコール中毒を起こしかねないアルコールの量でも、時間をかけてゆっくり飲むことで、アセトアルデヒドはは緩やかに上昇し、無毒なものに代謝されます。身体にはアセトアルデヒドを無害にする能力があるからです。
一気飲みはアセトアルデヒドを分解して無害にする能力を明らかに超えて体内のアセトアルデヒドの数値を上げてしまいます。ですから、くれぐれも一気飲みはやらないようにしてください。
お酒を飲んで酔わない人とは
アルコールがザルの目をすり抜けて体内に入っていないのではないかといういわゆる「ザル」と言われる方のように、大量のアルコールをずっと飲み続けられる方が稀にいらっしゃいます。また大量のお酒を飲んでも酔わない方も中にはいます。
一方、お酒が弱くお酒を飲むと少量で酔ってしまったり、すぐに顔が赤くなって恥ずかしいと思っている方は、このような大量のお酒を飲んでも酔わない方に憧れたり羨ましいと思うこともあるかもしれません。
しかしアルコール代謝は人間が100人いたら、100人とも少しずつ異なります。アセトアルデヒドを分解するアセトアルデヒド脱水素酵素が脱落しているために、お酒が非常に弱い人もいますし、アセトアルデヒド脱水素酵素が脱落しておらずお酒が強い人もいます。
アルコール代謝に関連する酵素は、1ダース以上も存在します。その組み合わせによってお酒への強さが変わりますので、世界で比べるとお酒が弱いといわれている日本人の中にも、非常にお酒が強いという方も稀にいらっしゃるのです。
ただし、くれぐれも一般の方はそういう方の飲み方をマネしないようにしてください。
最後
お酒は飲み方次第では命にかかわるものです。特に短時間での大量飲酒は非常に危険です。また、体調が悪い時の飲酒も同じように危険です。お酒を飲むときは自分の体調と相談しながら決して飲みすぎないように注意してください。