なぜ、抗酸化研究を始めたのか?

2018.05.22

 

私はもともと、近畿大学医学部で25年間、外科医として主に腹腔鏡で大腸がんの手術していました。

 

しかし、がん患者からがんを切り取っても切り取っても、がんの患者さんは減らないし、手術した方の中には再発して、不幸にもお亡くなりになられた方もいらっしゃいました。この状況を何とかしたいな、と次第に考えるようになりました。

 

 

外科医から研究者へ

 

実は、がんの研究は、ずっと続けていました。最初は医師に成り立てのころです。1982年に医師免許を取り、研修医が終わった後に、大学院で「がん」そのものの研究を行い、がんの転移を抑制するための研究を行っていました。

 

 

 

 

その後、外科医となってからも、外科治療の合間を縫って、がんの進行を抑えたり、転移を防いだりするにはどうしたらいいかという研究をコツコツと続けてきました。

エビデンスも少しずつ出てきて、論文をいくつも書いて教授にはなりましたけど、とても満足のいくものではありませんでした。研究室レベルでは根拠となるデータが出せても、それが実際に患者さんの役に立つかどうかというと、まったくダメ。

このままじゃいけない、何かもっと治療につながる研究をしなければならないと、ずっと考えていたのです。そんなとき、思いがけない出会いがきっかけとなって、研究の道へ踏み出すことになったのです。

 

一番最初の「きっかけ」は

 

 

 

マーカス・マチューシカ・グライフェンクラウ

ドイツ出身 欧州医療財団 TIMA財団 理事長※1

 

私の友人に、ドイツ人の伯爵でTIMA財団の理事長をやっているマーカス理事長※1がいます。彼と知り合って、1~2年経ったある日のことです。彼がこんな質問をしてきました。

 

「アルコールの仕事したことある?」

 

確かにアルコールの摂取量とがんの発生の関係についてデータを調べたことはありますが、本格的に取り組んだことはありません。一瞬、面食らった私に、マーカス理事長が続けます。

 

「マウスにアルコールを大量に与えると、そのマウスのがん転移が増えてしまうという研究があるんだよ。アルコールの代謝を早めてアルコールの健康被害を抑えるものを作ろうと思っているんだ。ついては、協力して欲しい」

 

ほう、なるほど、そういうアプローチ方法もあるのか。これはおもしろそうだ。ちょうど2003年のことでした。

 

スタートは「アルコール代謝研究」

 

マーカス理事長から依頼された研究に協力し始めてから、まず行ったのは、薬効成分の検証でした。アルコール代謝を高めると言われている成分から候補を絞り込み、単独で使ったり、組み合わせを変えたりしたわけです。

 

すると、思いのほか、早めに結果が出てしまいました。研究協力を依頼されてから、ほぼ1年くらいたったときのことでした。

 

それが今「SUPALIV」(スパリブ)という商品になって、ファミリーマートの店頭などに並んでいたりします。

 

 

この「SUPALIV」(スパリブ)は、我々の試験結果では、実際にアルコールやアセトアルデヒドの代謝を飛躍的に高めることがわかっています。アルコールによる健康被害を半分にすることだって、夢ではないのではないかと感じています。

 

 

つながる研究「アルコール代謝からみつけた糖代謝」

 

アルコール代謝の研究をしている時に、組み合わせる成分の配合比率を少し変えたら、体内の糖の代謝が進んだことに気づきました。そのため、この研究が「糖尿病」に使えるのではないかという感触を持ちました。

すぐに、

「糖尿病にすごく効果のあるものができそうです。」

とマーカス理事長に伝えると

「じゃあ、私が研究費をだそう!」

と言ってくださいました。

 

 

大学を辞めて研究者へ

 

実は、アルコール代謝からつながった糖代謝の研究は、長年いた近畿大学でやりたかったんです。

 

そのため、

当時の理事長、瀬古理事長に直接、

「お金を出してくれる方がいるから研究室作って研究がやりたいです。」

と伝えたら、

「ダメだ」

と言われてしまいました。

 

なぜなら、近畿大学には、まだ「寄附講座」ができていないから。というのが理由でした。

 

そのことをマーカス理事長に相談したところ、

「もう大学辞めたらいいんじゃないか?」

と言われました。考えたところ、私の代わりにがんの手術する医者は、後輩にも大勢います。

でも、今の研究は、誰かに任せることはできません。“この研究は僕にしかできない!”と思って、大学辞めることにしました

 

糖代謝から抗酸化研究へ

 

研究に専念するようになってからは、糖の代謝について一生懸命、研究をやりました。成分の配合比率を無数に試して、かなりデータもそろって目処がつき、糖代謝についてわかってきました。ちょうどその頃、2005年ですが、「Twendee X」(トゥエンディ エックス)のレシピができたのです。

 

 

 

その後、2011年にドイツのレーゲンスブルクにある大きな大学の放射線物理のヘルムート博士が、マーカス理事長が持っている薬の開発会社の所長を通じて

 

「どうもこの「Twendee X」の話を聞いていると、“抗酸化力”が強そうだ!ちょっと測ってみましょう!」

 

と申し出てくれました。

 

ヘルムート博士の実測データを見て、驚愕しました。2011年の時点で【世界で最も抗酸化力が強い】と出ていたのです。

 

それなら、抗酸化の研究もしてみなければダメじゃないか。と考え、

2011年の秋頃から動物実験を始めました。調べ始めてすぐに、抗酸化にもとんでもなく効果があるということがわかったのです。

 

岐阜大学で抗酸化研究者として

 

 

抗酸化研究まで行おうとすると、本格的な設備や体制が整った大学でなければ、ほとんど不可能です。

 

そのため、2013年に岐阜大学に「私の部屋を作ってください」とお願いに行きました。幸い、岐阜大学には「寄附講座」のシステムがありました。2013年4月に「寄附講座」開設をお願いして、同じ年の11月に講座をオープンをしてもらいました。

 

 

そこから抗酸化研究が本格化しました。今現在、トータルで恐らく十数億円ほどのお金をかけて研究を行っています。今は、抗酸化関連で効果が期待できるエビデンスを積み上げている最中です。これからが楽しみです。

 

 

 

 

 

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