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岐阜大学 ライフサイエンスリサーチセンター
抗酸化研究部門

岐阜大学 ライフサイエンスリサーチセンター 抗酸化研究部門

花粉症と酸化ストレスについて

2018.05.22

 

 

アレルギー疾患の一つである“花粉症”で多いのはスギ花粉と言われていますが、この花粉症も酸化ストレスと関連性があります。

 

そもそも花粉症とは何か?

 

環境省のHPで説明するとこうなります…

花粉症は体内に入った花粉に対して人間の身体が起こす異物反応です。これを 免疫反応と言います。つまり、体内に侵入した花粉を異物と認識し、この異物(抗 原)に対する抗体を作り、再度侵入した花粉を排除しようとする反応です。

引用:環境省HP 花粉症環境保健マニュアル-2014年1月改訂版-

http://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/manual.html より

 

 

ちょっと難しいですね…。簡単に説明すると、

体内に入った異物(花粉)に対して“異物反応(免疫反応)”を起こすこと。」

 

書いてある通り、免疫反応というのは、本来ウイルスや細菌のような身体にとって悪いものをやっつける反応なので身体にとって良い反応なのですが、この免疫反応が過剰になりマイナスに働くことで生活に支障がでることをアレルギーと言います。

 

ではなぜ、この免疫反応がマイナスに働いてしまうのでしょう?

 

免疫反応を起こす細胞が集まっているのが“白血球”です。聞いたことありますよね。これが免疫担当細胞とも呼ばれています。その白血球の主な種類がコチラ

 

 

白血球には、たくさん種類がありますね。

この中でも免疫反応には“マクロファージ” “T細胞” “B細胞”が大きくかかわってきます。

 

まず、マクロファージは、大食細胞とも呼ばれていて死んだ細胞やその破片、体内に生じた変性物質、侵入した細菌などの異物を食べて消化してくれる、清掃屋さんです。更に免疫反応でも中心的な役割を果たしています。

 

体内の異物をマクロファージが取り込んだ後、その情報をヘルパーT細胞(T細胞)に伝達(抗原提示)します。

抗原提示を受けて侵入物として認識したヘルパーT細胞は、キラーT細胞やB細胞を活性化させこの侵入物を攻撃させます。

このヘルパーT細胞自体は異物への攻撃はせず、他の免疫細胞に対する司令塔の役割を担っています。実際に攻撃するのはキラーT細胞やB細胞です。

キラーT細胞は異物を殺す役割をもっています。B細胞は、抗体という蛋白質をつくる役割をもっています。抗体が異物を捕まえてくっつくと、異物は動けなくなり無毒になります。

侵入物を攻撃している時には、発熱やのどの痛みなどの風邪症状がでます。

 

さて、花粉症のようなアレルギー反応は何が起こっているかというと…

 

まず体内に入った“花粉”をマクロファージが取り込み、ヘルパーT細胞に伝達します。

抗原提示を受けたヘルパーT細胞は、Th2細胞になりその花粉の情報をB細胞に知らせて、B細胞は形質細胞になり、IgE(免疫グロブリンE)という花粉症を引き起こす抗体を出します。

(※ウイルスや細菌が侵入してきた場合にはヘルパーT細胞はTh1細胞になり、B細胞はIgM抗体やIgG抗体、IgA抗体を出します。)

 

この抗体というのは、先ほど説明したように免疫のもとで体内に入った異物を捕まえ、くっついて反応する物質なのですが、このIgE(免疫グロブリンE)が花粉とくっつき白血球の肥満細胞からヒスタミンなどの物質を発生させ、鼻や目の粘膜や血管に作用し炎症を起こして、涙や鼻水が出てきます。これがアレルギー反応です。

 

さて、このアレルギー反応は免疫バランスが取れていれば起こらないのですが、免疫バランスが崩れTh2細胞が増え過ぎることでアレルギー反応が起きてしまうのです。

今、注目を集めているのが“Tレグ細胞(細胞制御性T細胞)”というT細胞の仲間で、異常な免疫反応を抑制し適切にするT細胞です。つまり過剰な免疫反応のブレーキ機能をもった細胞です。このTレグ細胞がアレルギー疾患の根治のカギを握るといわれています。

 

このTレグ細胞もヘルパーT細胞の1種です。ウイルスや細菌が侵入した時にヘルパーT細胞はTh1細胞になり、ホコリや花粉などのアレルギー物質が侵入した時には、ヘルパーT細胞はTh2細胞になります。

 

Th1細胞がB細胞を活性化させるためにIFN-γ(インターフェロンガンマ)などの“Th1サイトカイン(生理活性物質)”を分泌します。Th2細胞がB細胞を活性化させるための“Th2サイトカイン(生理活性物質)”はIL-4(インターロイキン4)などの物質です。一方、Tレグ細胞はIL-10(インターロイキン10)やTGF-β(トランスフォーミング増殖因子ベータなどの抑制的サイトカインを分泌し、過剰な免疫反応を抑制する機能を持っているのではないかと考えられています。

 

ただ、これらの免疫バランスが崩れる原因の一つとして酸化ストレスが考えられているのです。別の記事でも説明していますが、酸化ストレス物質(活性酸素)に最も弱いのが白血球です。

我々の免疫を司っている白血球は酸化ストレスによってダメージを起こしやすいのです。つまり体がサビてくると、バランスを取る免疫細胞がダメージを受け、免疫バランスが壊れるのでアレルギーになりやすくなる。これが花粉症が起きる非常に大きな理由です。