遺伝的に酸化ストレスに弱い・強い体質がある?

2018.06.14

 

まず、「酸化ストレス」について簡単に説明させてください。

酸化ストレスとは体の中の活性酸素が体をサビつかせようとする力のことです。活性酸素の代表的なものに過酸化水素次亜塩素酸があります。過酸化水素は漂白剤の原料、次亜塩素酸は消臭、殺菌に使われます。

 

洗濯や台所で使う漂白剤や消臭剤、殺菌剤などの原料を確認していただく、とその名前を見つけることができるかと思います。実はこれらは私たちの体の中でも作られているのです。何のために作られているかと言いますと、体内に侵入してきた細菌をやっつけるためです。

 

体の中に細菌が入ってきたとき、白血球がその細菌を飲み込むのですが、飲み込んだだけでは細菌は殺せません。そこで過酸化水素と次亜塩素酸と酵素を使って、細菌をバラバラに壊して殺してしまうのです。このように元々は私たちの体を細菌などから守るために作られているものなのですが、それと同時に体をサビつかせる作用もあるのです。

 

例えば、漂白剤が手に付いたら炎症が起こりますよね。それと同じことが体の中で起きるのです。

このような力のことを酸化ストレスと言います。

私たちは元々この活性酸素の働きを抑える力を備えているのですが、活性酸素が増えすぎると抑えきれずに酸化ストレスが大きくなり、その酸化ストレスがいろいろな病気を引き起こします。

 

遺伝子と酸化ストレス

遺伝的に酸化ストレスが高い方、また低い方がいるのかと言うと、酸化ストレスに関係する遺伝子はまだおそらく見つかっていません。

ただ前述のように酸化ストレスはさまざまな病気に関わっており、その中には遺伝的な病気もあります。

 

例えば、糖尿病という病気があります。

これは生活習慣が乱れると血糖値をコントロールする膵細胞が酸化ストレスによってダメージを受けます。その結果として血糖値が高い状態が続き、全身にまでその酸化ストレスによる悪影響が出て動脈硬化・網膜症・神経障害・腎症などの合併症が引き起こされます。

この糖尿病の中には生活習慣によらない家族性の糖尿病があります。これは遺伝で発症するのですが、同様に酸化ストレスが高くなります。つまり、遺伝的に酸化ストレスが高いと言えるでしょう。


また、潰瘍性大腸炎という病気についてもお話させてください。

これも遺伝的因子が関与していると言われる病気です。潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に炎症が起き、潰瘍などができる炎症性疾患です。炎症が起きているということは、先ほどの漂白剤の話からもわかるように酸化ストレスが高まっているというわけです。この疾患にかかっている方も、糖尿病の例と同様に遺伝的に酸化ストレスが高いと言えます。


糖尿病や炎症性疾患の例を挙げました。

遺伝的な病気に関して卵が先か鶏が先かという話になってきますが、これらの病気が遺伝してしまうと生まれながらに酸化ストレスが高くなるリスクを背負ってしまうということが言えるでしょう。

つまり、遺伝的な疾患と酸化ストレスは関連していると思ってください。

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