新型コロナウイルス予防にビタミンCは効果があるのか?

2020.03.31

 

 

 

 

 

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私は岐阜大学と京都にあるルイ・パストゥール医学研究センターで抗酸化研究をしている研究者です。さて、新型コロナウイルス予防にビタミンCは効果があるのか、という質問を受けましたので、このビデオを撮影しています。

 

 

 

まず、コロナウイルスの肺炎は通常の細菌感染性肺炎と違い、間質性肺炎という形をとります。コロナウイルスが感染しますとCT上、肺の下側・背中側で病変が始まってり、どんどん上に広がるという病態です。ウイルス増殖だけであれば空気の出入りが多い肺の中間から上のほうになりますが、血液の流れが多い肺の下側・背中側となると免疫反応が病変の主役ではないかと、そして大きな酸化ストレスがかかっていることは間違いないということを私の教室の岡田直美助教が言っておられます。 岡田助教は腫瘍内科の専門医で画像診断のトップクラスです。

 

 

 

 

間質性肺炎では酸化ストレスが上昇することが明らかになっており、論文は非常にたくさんあるが、代表的な4本のみをこのスライドに示します。

 

 

 

 

酸化ストレスを下げる方法は皆さんにできる方法があります。タバコを吸うのをやめる、大量の飲酒をやめる、そして血糖値が高いと酸化ストレスが高くなりますので肥満の方は糖質制限をする、十分な睡眠をとって精神的ストレスを下げることも重要です。そして、酸化ストレスを直接下げるわけではないが、体を温めることは免疫を上げるので非常に有効な場合があります。そして5番目、抗酸化サプリメントをとることも酸化ストレスを下げる一つの方法です。

 

 

 

 

抗酸化物質は間質性肺炎に有効かどうかという検討をした論文が2008年に報告されています。この論文ではビタミンEなどの抗酸化物質を使って間質性肺炎に効果があるかという論文をのを世界中から集めて考察したもので、最終的な結論としては抗酸化物質は間質性肺炎に有効であると書かれています。しかしこの論文にはビタミンCの話題は出ていません。つまり2008年の時点では間質性肺炎にビタミンCの摂取は効果がないと考えていいかもしれません。

 

 

 

 

 

そして、論文を検索していますと1本論文がでてきました。間質性肺炎の患者さんに大量のビタミンCとステロイドの点滴をすることにより肺炎がコントロールできたという論文がありましたが、当然ながら入院し医師の管理下で行わないとできない治療法ですので、一般の方にはできません。

 

 

 

 

さて、ビタミンCは飲みすぎると抗酸化力はなくなります。ビタミンCと酸化ストレスを下げるという論文はたくさんありますが、代表的なものとしてこのスライドをお見せします。この青のバーが何も入れていない状態です。この実験ではメトヘモグロビンという酸化鉄を還元する能力をみ見ていますが、赤色のバーが5mmolのビタミンCを入れたときに青と比べて優位に下がっています。つまりこれは抗酸化力が出ているといえます。 ところが、黄緑色のバー、10mmolのビタミンCを入れると青と変わりません。つまり抗酸化力がなくなっています。さらに20mmolに増やすと、なんと抗酸化力が全くないどころか悪くなっています。つまりビタミンCは適量が一番抗酸化力が強く、飲み過ぎるすぎると効果がなくなります。これは成人では1回に1g程度で一番効果があり、2g飲むと抗酸化力がなくなるといっていいでしょう。

 

 

 

 

さて、抗酸化物質による抗酸化力の測定のデータをお見せします。こちらには私が開発したTwendee XとビタミンCと水素のデータを示しています。酸化ストレス物質の最終産物である過酸化水素をどれくらい打ち消す能力があるかを測定する実験です。濃い緑がTwendee Xで、薄い緑がビタミンCですが、Twendee Xのほうは入れている量は6割ほどですが、ほぼ同等の抗酸化力がありますので、Twendee Xの過酸化水素の消去能力はビタミンCの1.8倍あるということがわかります。水素水は薄めて使っていますが、過酸化水素を打ち消す力は一定量あるというデータです。

 

 

 

 

そしてもう一つの酸化ストレス最終産物・次亜塩素酸というものがあります。先ほどと同じ条件でデータをと取ったったところ、Twendee Xが680μmol、ビタミンCはほとんどありません。水素に関してはは0です。Twendee Xの次亜塩素酸を打ち消す力はビタミンCの140倍以上あるということになります。水素に関しては次亜塩素酸を打ち消す力はゼロです。ですから、水素水よりもビタミンCを飲んだほうがいいとは思います。

 

 

 

 

さて、最初の「新型コロナウイルスにビタミンCは予防・治療の効果があるのか」という質問ですが、まず1回1g程度のビタミンCは弱い抗酸化力があってコロナウイルス予防効果は少しだけ期待できるといえます。ただし、ビタミンCを一度に2g以上飲むと抗酸化力効果がない、すなわち過ぎたるは及ばざるがごとしということにあります。 そして、水素水は次亜塩素酸を全く消去できませんので水素水を飲むよりはビタミンC1gを飲むほうが良いと思います。いずれにしましても、サプリメントというのは抗酸化力のエビデンスがどの程度あるかというのが非常に重要であると思われます。

 

 

 

 

岐阜大学抗酸化研究部門の情報です。

 

 

※当動画・テキストで公開している内容は、岐阜大学 抗酸化研究部門 特任教授 犬房春彦の個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません。