運動は健康にいい?筋肉質な人は長生きできる?
2018.07.05
最近、ダイエットのためだけはなく健康のために運動を始めたという人をよく見聞きします。スポーツジムには幅広い年齢の人が通っているようです。
メタボ健診の保健指導にもウォーキングや水中歩行や自転車などの軽い運動を定期的に行うように心掛けましょうとあります。そのように健康維持のために運動をすることがいいと言われますが、それはどういうメカニズムなのでしょうか?
運動と酸化ストレス
運動をするとき、人は筋肉を使うわけですが、実はその際に筋肉細胞から酸化ストレスの原因となる物質が出てきます。
運動をすると、心拍数が早くなって呼吸も上がります。そのようなときは、運動していないときよりも多くの酸素が体の中で消費されることになります。
酸素の消費量が増えるということは、同時に活性酸素も発生することになります。活性酸素は酸化ストレスの原因物質ですから、運動をすると体内の酸化ストレスは上がるわけです。
しかし、その一方で酸化ストレスを打ち消す力も体の中で上がっていきます。
つまり、定期的に適度な運動をするということは、定期的に酸化ストレスを上げ、同時に酸化ストレスを打ち消す力も上げることになるのです。
では、適度な運動というのは意味が無いのでしょうか。
実際に定期的に運動をしている人と、全く運動していない人の寿命を比べると、運動をしている人の寿命の方が長くなっています。スポーツ医学の先生方は、その結果について酸化ストレスが大きく関わっていると仰っています。つまり、プラスマイナスで考えると、適度な運動は酸化ストレスに関してはプラスの方向に働くと言えます。
筋肉量と酸化ストレス
そうは言っても、筋肉量については多ければ多いほどいいというわけではありません。
運動をすることで体をシェイプアップしようと考える方もいらっしゃるかと思いますが、健康的で長生きできる体型というのはどんな体型だと思いますか?
筋肉隆々のいわゆるマッチョな体型というのは屈強で健康的と思われるかもしれませんが、実は、長生きと筋肉量というのはそんなに関係が無いのです。
もちろん、筋肉量はある程度あった方がいいですが、それは日常生活を無理なく過ごせる程度で十分なのです。
長生きに適した健康的な体型とは?
では、長生きに適した健康的な体型というのはどういった体型なのでしょうか。
「BMI」という言葉を耳にしたことがある方も多いかと思います。
BMIは体重が身長に見合っているかどうかを判定する数値です。BMIは、体重[kg]÷(身長[m]×身長[m])で求められます。
そして、厚生労働省の指針では、BMIが18.5以上から25.0未満が「普通体重」とされています。この普通体重に当てはまる体型の人が長生きなのでしょうか。
実は、一概にそうとも言えないのです。みなさんは普通体重よりも少し痩せたいと思われるかもしれません。しかし、長生きすると言われている体型はその逆で、BMIで言うと、24.0~26.0という普通体重の上限に引っ掛かるか少しはみ出る程度のややポチャッとした体型なのです。
長生きには筋肉量があまり関係無くて、体型もややポチャッとしている方がいいのなら、そもそも「酸化ストレスを上げることになる運動なんてしない方がいいんじゃないの?」と思われてしまうかもしれません。
前述のように運動をしなければ、確かに酸化ストレスは上がらないで済みます。しかしに酸化ストレスを打ち消す力も上がらないので、結果として体には良くないのです。
また逆に、運動負荷の高すぎる運動というのも、体の中の酸化ストレスが増大し、人が本来持っている酸化ストレスを打ち消す力を超えてしまいます。
負荷の高すぎる運動は、過度に酸化ストレスにさらされることになりますから、これもまた体に良くありません。
運動負荷の高くない運動を習慣的に行うことで程良い筋肉量をキープして、酸化ストレスを打ち消す力を上げておくということが長生きのためには一番と言えるでしょう。