痛風とアルコールはどれくらい関係があるの?
2018.07.19
痛風という病気をご存知の方も多いかと思いますが、痛風は尿酸が体内に溜まって結晶化することで激しい関節炎が生じる病気です。
「痛風」という名前の由来に、痛みの発作が出ている部分は吹いてきた風が当たるだけでも痛いという説がある程、酷い痛みが伴う病気として昔から知られています。
そんな痛風の原因となる尿酸について、よく「アルコールを飲むと尿酸値が上がる。」と言う人がいますが、実はアルコールだけでは尿酸値は上がりません。
尿酸は体の中で作られるものが約70%で、食べ物から作り出されるものが約30%なのです。
この尿酸を作り出す原因はプリン体という物質なのですが、プリン体は植物や動物の細胞の核の中にあります。
アルコール自体には何の細胞も入っていませんから、プリン体ゼロの飲み物ということになります。しかし、ビールには原材料である麦の細胞が溶け込んでいるので、プリン体が入っています。
じゃあ、ビールを飲まないようにすればいいのかと言うと、そうでもありません。
前述のように食べ物の摂取を制限したところで約30%しか変わらないので、例えば尿酸値が10.0mg/dLを超えてしまっているような人が食事制限をしたところで正常値である7.0㎎/dL以下にまでは下がりません。
ですから、ビールをプリン体ゼロのものにしたところで、理論上ではたいして尿酸値は下がらないのです。食べ物も同じです。
尿酸値を下げる有効手段
尿酸値を下げるために手っ取り早く有効な手段は何かと言えば、それは「体重を落とすこと」です!
人間の体は肥満状態になると、尿酸の排出能力が低下してしまいます。
尿酸が上手く体外に排出されなくなると、当然のことながら尿酸値は上がります。ですから、体重が平均体重よりも多い方は、体重を落とすだけで尿酸値は正常化します。あとは、尿酸値を下げる薬を服用するのも効果的です。
プリン体ゼロの食品を買って食べたところで、トータルで食べ物からのプリン体摂取をゼロにすることは不可能ですから、約30%程度の僅かな部分の為にあれこれ悩むよりも、体重を落とすということが非常に効果的です。また、前述のように薬を服用するのも良いでしょう。
尿酸値とアルコール
ここまで説明しましたが、そうは言っても「焼肉でビールを飲んだ翌日は尿酸値が上がって、痛風の発作が酷くなった。やはり、ビールが悪いのではないか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
それは大いなる間違いです。
ビールが犯人ではありません。
先ほども申しましたように、ビールを飲んだところで、そこから生成される尿酸は全体の約30%の内のさらにほんの僅か程度にしかなりません。
尿酸値を上げる真犯人は何かと言いますと、それは、ずばり「脱水」です。
ビールに限らずアルコールを摂取すると、体内で脱水が起こります。アルコールには利尿作用があり、お酒を飲んだ以上の水分が尿として出ていってしまいます。アルコールの中でもビールは特に利尿作用が強いと言われています。また、アルコール自体を分解するのにも水が必要となります。
以上のように、利尿作用とアルコール分解の2点から飲酒後は脱水状態になりやすいのです。
脱水になると血液が濃縮され、その結果、尿酸値が更に上がってしまうのです。その時に痛風の発作が起こるわけです。
血液が濃縮してしまうのが悪いのですから、しかり水分補給をし血液を希釈してあげれば、痛風の発作は抑えられます。実際に、痛風の発作を繰り返す人にずっと水分補給をしたところ、痛風の発作は起きませんでした。とても単純なことですが、飲酒後の水分補給は大事ですね。
最後に
最後に繰り返しになりますが、尿酸値を下げるために大事なことは体重を落とすこと。
そして、痛風の発作を防ぐためには、水分補給を心掛けること。
それだけでは不安だと思われる方は尿酸値を下げる薬を日頃からしっかりと飲んで下さい。