GOT(AST)とGPT(ALT)が高い場合は肝臓に注意!酸化ストレスとの関係
2019.05.11
健康診断や人間ドックの血液検査結果でGOT(AST)とGPT(ALT)の数値が高い場合、心配になるのが肝臓です。お酒をよく飲む方はなおさら心配になるでしょう。
まずGOT(AST)は、グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼの略で、GPT(ALT)は、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼの略です。両方とも肝臓の細胞で作られる酵素で、肝臓の調子が悪くなると血液中の値が増えるので、肝臓の病気を発見するためのパラメーター(指標)となっています。
GOT(AST)はほぼ肝臓内に存在するのですが、GPT(ALT)は心臓や腎臓など肝臓以外にも存在しているため肝臓以外の調子が悪い場合も数値が上がることがあります。GOT(AST) 、GPT(ALT)と合わせて肝臓の調子のパラメーターになるのがγ-GTPという酵素です。
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれていて、例え肝臓の調子が悪かったとしても自覚症状が出にくい臓器です。症状が出始めた時には、すでに治療が間に合わない状態であるため「沈黙の臓器」と呼ばれているのです。
自覚症状が出にくい肝臓の疾患を早期で発見するためのパラメーターとしてGOT(AST) 、GPT(ALT)、γ-GTPの数値はきちんと確認することをおすすめします。
また痛みがあるなど、身体に何かしらの不調があるわけではないのに、病院に行って検査を受ける方は少ないと思いますので、健康診断や人間ドックなど機会がある場合はきちんと検査してもらうことが大切です。
GOT(AST)とGPT(ALT)と酸化ストレス
先程説明したように、GOT(AST)、GPT(ALT)は、両方共に、肝臓の調子が悪い時や肝臓の細胞が壊れた時に血液中に出てくる酵素です。
私達の体の細胞は古い細胞と新しい細胞が毎日入れ替わっています。つまり一定量の肝細胞は毎日死んでいっているのです。
ところが、新しく作られる細胞よりも壊れて死んでいく細胞が増えてしまうとGOT(AST)、GPT(ALT)の数値が跳ね上がります。
では、どのような時に正常だった肝臓の細胞は壊れてしまうのでしょうか?
それは例えば、ウイルス性の肝炎やアルコール性の肝炎といった肝臓に炎症が起こった状態になると、肝臓の細胞が壊れてしまうのです。
肝臓に炎症が起こるというのはどういうことかというと、炎症が起こっている場所に酸化ストレス物質ができるのです。この酸化ストレスで肝臓の細胞がダメージを受けて壊れて死んでしまうことでGOT(AST)、GPT(ALT)の数値が上がるということが明らかになっています。
反対に酸化ストレスを下げてやるとGOT(AST)、GPT(ALT)も下がり正常になることもわかっています。
GOT(AST)、GPT(ALT)の数値が基準値よりもちょっと高い場合などは、生活習慣を見直すことで改善される場合もあります。特によくお酒を飲む方などは、飲むお酒の量を減らすことで基準値内に戻ることも期待できます。そして酸化ストレスを下げる生活をすることで、数値の改善も目指せます。
参考記事
どんな生活習慣が酸化ストレスの原因になるのか?(https://antioxidantres.jp/column028/)
酸化ストレスが身体の中で増えるとどうなるのか?(https://antioxidantres.jp/column033/)
肝臓は代謝や解毒などの役割を担っている大切な臓器です。肝炎や肝硬変などは酸化ストレスとも非常に関わりのある疾患です。健康診断や人間ドックなどで生活習慣の改善を勧められた場合などは、食生活の見直しに合わせて、酸化ストレスを上げない生活を心掛けていただくことで、健康長寿が目指せると思います。
過去記事:肝臓関連
肝炎・膵炎はアルコールとどのように関係しているか?(https://antioxidantres.jp/column069/)
有害物質アセトアルデヒドとは何か?(https://antioxidantres.jp/column013/)
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