太っている人は脂質は食べない方がいい?!脂質は身体にいいもの?悪いもの?

2019.11.06

 

今回は食べ物の話です。「三大栄養素」という言葉、皆さんご存知の通り、身体に必要な栄養素のことで、

・炭水化物

・タンパク質

・脂質

であり身体に必要な栄養です。

 

 

 

炭水化物(糖質)は酸化ストレスが上がる食べ物として何度も紹介してきました。

炭水化物(糖質)は酸化ストレスが上がる食べ物として何度も紹介してきました。

 

三大栄養素の中でも太っている方がよく気にしているのは「脂質」ですね。脂質を食べ過ぎると、身体に脂肪がついてしまうと思われがちです。しかし最近では脂質の考え方は変わってきています。酸化ストレスの関係と合わせてご紹介します。

 

脂質は身体によくない?

 

脂質を摂りすぎると太るのではないか?と聞かれますが、これは大きな勘違いです。

牛や豚などの脂肪を食べるとそれがお腹の脂肪になるのではないか?と考えられるので、脂肪を摂ると身体に悪いと思われがちですが、皆さんのお腹にたまる脂肪や、細胞に溜まる脂肪は、脂肪を食べたからではなくて、糖質を食べたからできるものです。

 

また脂肪は同じ量のカロリーがタンパク質や炭水化物の倍あるので、カロリーが肥満につながると考えられていた時期もあり、脂質=太る、と考えられていた可能性もあります。

 

しかし最近では脂肪を食べることが肥満につながることはない、寧ろ、お腹につく脂肪は糖質が原因だと考えられるようになりました。

 

つまり以前の記事「酸化ストレスの大敵!血糖値が上がるとなぜ酸化ストレスが上がるのか? (https://antioxidantres.jp/column118/)」で紹介したように、人間は糖代謝によって活動するエネルギーを作っています。

その中ですぐ使われずに貯蓄したエネルギー、これがお腹につく脂肪の原因なのです。

糖質を食べると酸化ストレスが上がるという話をしましたが、脂質、脂分(あぶらぶん)を食べても酸化ストレスは上がりません。

 

寧ろ、脂質は身体に“非常にいい物質”と最近では考えられています。

 

 

赤ちゃんの栄養素

 

脂肪が身体に“非常にいい物質”と考えられるようになった一例をご紹介します。

産婦人科医の宗田哲男医師という有名な産婦人科の先生がいらっしゃいます。宗田先生は生まれてきた赤ちゃんの臍帯血(さいたいけつ)や、胎盤を調べられています。

その臍帯血や胎盤には、意外にも血糖値であるグルコースが低く反対に脂肪が分解してできたもの(ケトン体)が大量にあるということを発見されました。

 

これによって、脳や臓器、様々な器官ができる非常に大事な時期の栄養は糖分ではなく脂質ということが証明されました。

つまり、脂肪は赤ちゃんの時に良い栄養、必要な栄養であるということです。そして赤ちゃんの時に良い栄養である脂肪は、当然大人になっても悪いものとは考えられていません。ですから、脂質は決して悪い栄養源ではないということが言えます。

 

塩分は身体に悪いもの?

 

脂質と同じように身体に悪いものと言われているのが「塩分」です。塩分も身体に悪いものなのでしょうか?

塩分は通常より摂り過ぎると血圧があがってしまいます。血圧が上がると色々な病気を引き起こします。

例えば、脳や心臓の血管が詰まるという病気、また脳出血も起こしやすくなります。ですから塩分は身体にはよろしくないのでできるだけ避けましょうということになっています。

 

酸化ストレスの観点では、塩分をたくさん摂ったから、身体の酸化ストレスの値が上がるか?といえばそういう現象は現在確認されていません。

 

しかし、健康のためには、塩分の摂り過ぎは血圧を上げる可能性がありますので、できるだけ塩分を避けて1日8g以下という厚生労働省の目標を守るようにしてください。

 

最後に

 

脂質に対するイメージや一昔前の情報は最近では新しい研究などもされて変わってきています。雑誌やインターネットなどでも健康に関する情報は頻繁に出ていますが、新しいからといってそのまま取り入れるというよりは、きちんと自分で情報を調べて、正しい情報か?エビデンス(証拠)はあるか?を判断することをおすすめします。

 

健康な食生活は健康長寿を達成するために欠かせないものです。また酸化ストレスを上げない生活も健康長寿につながります。岐阜大学 共同研究講座 抗酸化研究部門では、酸化ストレスの研究とともに健康長寿に関する情報を発信していきます。