性別によって酸化ストレスへの抵抗性の違いはありますか?

2019.11.10

 

今回は性別による酸化ストレスについて少しお話をします。

一般的に性別を男性、女性と2つに分けると、基本的な酸化ストレスの抵抗性に大きな差はありません。

 

 

ただ、注意していただきたいのは女性の場合には、女性特有のホルモンのことがございます。

女性の場合は酸化ストレスがあがりやすい時期がありますので、今回、簡単に説明をします。

 

女性が酸化ストレスに注意したい時期

 

女性には生理という期間があります。生理の時は女性ホルモンが高い状態になり、酸化ストレスが上がっています。その時にアルコールを飲むと非常に酔いやすくなる、ということが、色々な論文で明らかにされています。

そして女性が妊娠している時も、当然男性とは違う状況になります。

 

妊娠と酸化ストレス

 

妊娠時の特有な症状は酸化ストレスと関わりがあることがあります。

まず、妊娠すると胎盤(たいばん)ができます。胎盤は赤ちゃんに血液を送るところです。

実はその胎盤からホルモンが出るため同時に大量の酸化ストレスが出てきます。通常ですと大きな問題はありません。しかし、胎盤から出る酸化ストレスが多すぎると、身体に色々な不都合が起きます。

ひとつは「つわり」です。

この「つわり」は個人差がありますが「つわり」の症状が非常に強い方は、体内の酸化ストレスが非常に高い状態です。

 

そして「つわり」の症状が強い方によく見られるのが、「妊娠性皮膚搔痒症(にんしんせいひふそうようしょう)」というものです。全身の皮膚がかゆくて堪らない。という症状がでます。

 

この妊娠性皮膚搔痒症は、皮膚科に行って先生に受診してもらっても、「妊娠中だから飲み薬は出せません。」と言われ、塗り薬や貼って痒みを止める薬で対処することがあります。人によってはつわりよりも辛かったと言う方もいます。

 

その他にも、妊娠時特有の症状として、高血圧があります。

 

 

・妊娠性高血圧

 

普段は正常だったのに、妊娠したら急に高血圧になったという方がいます。

以前は「悪性高血圧」と言われていた疾患ですが、現在は「妊娠性高血圧」と言います。その特徴は、妊娠していない時は正常な血圧ですが、妊娠20週以降から高血圧になってしまいます。これは妊娠して酸化ストレスが上がったため血圧が上がるがらです。

 

妊娠中になぜ酸化ストレスが上がり「妊娠性高血圧」が起きるか?このメカニズムが明らかになってきました。それは、妊娠された方の動脈の血管内皮が、酸化ストレスでダメージを起こすからです。血管の内皮がダメージを受けると、動脈がどんどん固くなってきます。すると、血圧が上がってしまうのです。

 

そして、これは非常に特徴的な現象ですが、妊娠性高血圧の方の酸化ストレスを測定すると、妊娠、出産のときがピークに酸化ストレスがどんどん上がっていきます。

 

ところが、出産して、胎盤も身体の外に出た後は、1ヵ月くらいで体内の酸化ストレスが正常値に戻るのです。つまり、胎盤から酸化ストレスが出ているため、高血圧になるのです。

 

 

・マタニティブルー

 

妊娠時の特有な症状に、いわゆる「マタニティブルー」という表現をしますが、イライラしたり、気持ちが落ち込んだり、急に不安になったり、眠れないなどの妊娠性のうつ状態になることがあります。これは、脳に酸化ストレス物質や炎症性物質が溜まり、通常とは違う反応が出ているからだろうといわれています。

 

ですから妊娠されている場合にも、酸化ストレスを下げることによってマタニティブルーといわれるイライラや気持ちの落ち込み、不眠などの妊娠性のうつ状態の症状が減っていくのではないか、と思います。

 

 

更年期障害

 

年齢を経た女性の悩みで多いのが「更年期障害」です。

現在、まだ更年期障害がなぜ起こるか?というのは分かっていないのですが、生理が終わって閉経をする前後あたりに更年期障害の症状が出ることが多いと言われています。

 

この場合、ホルモンの補充療法で、減ってしまったホルモンの補充療法を実施します。しかし、ホルモンの補充療法で全員が良くなるわけではありません。そのため、まだ少し更年期障害については、わかっていないところがあります。

 

しかし、年齢的には45~60くらいで閉経は起こりますので、酸化ストレスが上がりやすい、上がってきている年代であると考えますと、ホルモンの減少だけでなく酸化ストレスも関係しているということは言えると思います。

なので女性の悩みでよくある、むくみや疲れなどは酸化ストレスが関わっている可能性が高いです。

 

またデータとしてエビデンスがあるわけではありませんが、女性特有の悩みで多い「生理不順」についてもご本人のホルモンバランスが関わっていることが非常に多いです。

 

最後に

 

今回挙げた生理や妊娠の時期に、酸化ストレスが非常に上がりやすい状態であるということは、男性と女性の酸化ストレスの異なる点です。

また、妊娠時の特有な症状は酸化ストレスが関わっている可能性もありますので、そのような時には、酸化ストレスを下げる食べ物を積極的に摂ったり、サプリメントを利用することもおすすめします。