肝炎の検査というのはどのようなものでしょうか?アルコール性肝炎はどんな形で診断されますか?

2019.12.18

 

今回は肝炎のお話です。肝炎については本サイトで何度か取り上げていますが、肝炎の中でも、今増えているのがNASHという「非アルコール性肝炎」です。

 

 

非アルコール性肝炎と診断がされた方は、アルコールを飲む方のアルコール性肝炎とどのように診断が異なるのでしょうか?

 

 

アルコール性肝炎とNASHの違い

 

肝炎の検査は基本的に血液検査をします。

この血液検査では、肝臓の細胞が壊れた時に出てくる特別な「酵素」つまり「GOT(ジーオーティ)」、「GTP(ジーティーピー)」の値を見ます。

 

またこの他に、アルコールを飲んだ時に、非常に上がりやすい「酵素」というものがあります。

これは肝臓の中の胆管の上皮というところから分泌されるもので、「γ-GTP(ガンマジーティーピー)」というものです。これも、数値で表されます。

 

参考:肝臓の状態を調べる血液検査と酵素の種類について

肝臓の状態を調べる血液検査と酵素の種類について

 

大まかに血液診断では血液中のこの3つの数値を確認しますが、γ―GTPが高い場合はお医者さんから「お酒をたくさん飲んでませんか?」と聞かれます。

「飲んでますよ」と答えると「アルコール性肝炎ですね。」と、診断結果がつくのです。

 

しかし、アルコールを飲んでおらず、肝炎ウイルスにも感染していないのにも関わらずGOT、GTP、γ-GTPの肝炎のパラメータ(基準値)が高い方、このような方はNASH(ナッシュ)という「非アルコール性肝炎、非ウイルス性肝炎」というクライテリア(評価基準)ができているのです。

 

このNASHにどう対応するのか、が、今後の肝臓の治療につながるだろうと言われています。

 

 

NASHとアルコール性肝炎の見分け方

 

NASHとアルコール性肝炎の判断基準は、アルコールを飲んでいるか、飲んでいないかの違いだけです。

 

私達人間も身体は1日に代謝できるアルコール量が決まっています。通常の人だと1日80gのアルコールを代謝できます。ということは、例えば、缶ビール1本500mlのアルコール濃度が5%だとすると、アルコール量は20gです。

 

つまり普通の人が1日80gのアルコール量を代謝できるのであれば、缶ビール1本で肝炎を起こすことはありません。

 

ですからア摂取するアルコール量が少ない場合、肝炎を起こすことは通常ありえません。それにもかかわらずGOT、GTP、γ―GTPの数値が非常に高くなっていたら、アルコール性肝炎ではなくてNASHの可能性が高いと考えます。

 

しかしこの場合でも、例えば1ヵ月、アルコールを飲むのをやめていただき、その後に再度、血液中のGOT、GTP、γ―GTPの数値を測ります。その時、数値が下がっていたら、やっぱり数値が高かったのはアルコールが原因だ、という場合もあります。

 

しかし現在はNASHが増えてきています。

NASHの主な原因は、1つは運動不足、そしてもう1つは食べ過ぎです。体型が太っている方でも痩せている方でもNASHにはなります。

 

また肝臓の細胞が酸化ストレスにさらされるとNASHになりやすいと考えられます。

 

 

最後に

 

アルコール性肝炎とNASHの診断の違いは、単純にアルコールを飲まない方のGOT、GPT、γ―GTPの数値が高かったらNASHの可能性があるということです。

 

しかし単純に考えるのではなく、精密検査などをして様々なデータや基準値(パラメータ)から、病気というのは診断されます。ですから、不安な場合は専門の医療機関にかかるようにしてください。

 

また、生活習慣を整えることで数値が改善することもありますので、健康的な生活習慣をするとともに、酸化ストレスを抑える生活を心掛けてください。